新型コロナウイルス感染症の影響で発出された緊急事態宣言が終わり、多くの飲食店は通常営業に戻ったため、人材の争奪戦が繰り広げられており、思うように人材が確保できず、結果として人材不足を解消できない飲食店が多くなっています。
そこで今回のコラムでは、人材の流動性が高いガソリンスタンドの現場に長年身を置き、経営コンサルタントとして多くの企業を見てきた経験を踏まえて、新規スタッフの効果的な募集で人材不足を解消する対策を見ていきます。
1.新規スタッフの応募を促す方策
前回のコラム飲食店やガソリンスタンドが定着率を上げて人材不足を解消する対策 では、タイトル通り、既存スタッフの定着率向上策を述べました。これを行ってから、もしくはこれを行いつつ今回述べる募集活動を行うことが重要です。
なぜなら、穴が空いたバケツに水を入れても水はなかなか溜まらないからです。定着率向上の対策がなされない限り、どんなに新規採用を行っても、退職者が増えるだけであり、採用・育成の手間をかけても人材不足は解消できないことになってしまいます。
それを踏まえて以下の方策を行うことにより、新規スタッフの応募が促進され、人材不足が解消できる可能性が高まります。
(1)SNSを活用する
今や宣伝媒体は、チラシなどの紙媒体からネットといった電子媒体へ移動していると言われています。さらに電子媒体も、ホームページからSNSへシフトしてきており、SNS使用の巧拙は店舗業績を左右するまでに至っています。
SNSは様々な種類がありますが、その中でも比較的若年層が使用し、情報の拡散力が大きいとされているのがTwitterです。よって、Twitterで店舗の日常に関して情報発信を行い、フォロワー数を集めることは、若者をターゲットとした有効なマーケティング活動になり得ます。
そして日々行うTwitterの投稿で、人材募集の告知を行うことは効果が期待できることになります。なお、この際に以下の書籍を参考にすることで、効果的な人材募集のキャッチコピーを構築することが可能です。
(2)ビジョンを示す
ジョンソン・エンド・ジョンソン、カルビー、RIZAPの代表を務めた実業家の松本晃氏は、ビジョンや目標が人材を集めると述べています。目指すものを持っている人や組織は、その前向きかつチャレンジングな姿勢が人を惹き付けるのでしょう。
よって、その店舗が目指すビジョンを示し、それを達成するためには人材が必要であることを述べることで、そのビジョンに賛同した方は、応募の意欲が高まるでしょう。この際に多くの応募を集めるためには、魅力的なビジョンを掲げることがポイントです。
例えば「社長が楽をしたい」というビジョン(実際にありました)では人を惹き付けることが困難ですが、「1年後に売上を2倍にして、市内にもう1店舗の新規出店を行いたい」というビジョンだと、規模拡大に寄与したい、新店舗で働いてみたいという希望を持たせることが可能になるということです。
(3)店長の写真を盛り込む
応募を検討する人材は、給与や業務内容を気にしますが、どのような方と働くのかという点も気になるものです。そこで、店長の写真を求人媒体に掲載することは、応募者を増加させる効果が見込めるでしょう。
写真写りにおいて現物以上の魅力がたまたま発揮された写真を「奇跡の1枚」と言います。また、撮影した写真を修正するアプリも出回っていますが、そのような写真ではなく、素のままの写真を掲載することが重要です。
かつて、ある研修会社が特殊な研修を社外講師に依頼する必要があり、ネットで探したところ、ある女性講師が見つかりました。そこで、同社の営業マンとその女性講師が打合せをするべく、某駅の改札で待ち合わせをしたところ、待っても待ってもその女性講師が表れない。そこで、営業マンが女性講師の携帯に電話したところ、隣に立っていた中年女性の携帯が鳴ったというのです。
ホームページでの写真と現物の落差に仰天したということですが、そのような写真を用いてしまうと、相手を失望させてしまうリスクを高めてしまいます。
今回のコラムでは、新規スタッフの雇用を促進して人材不足を解消する対策として(1)SNSを活用する、(2)ビジョンを示す、(3)店長の写真を盛り込む、を挙げました。次回のコラムでは、今回の内容を踏まえて効果的な新規スタッフの採用面接について見ていきます。
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