新型コロナウイルス感染症の影響で発出された緊急事態宣言が終わり、多くの飲食店は通常営業に戻りました。そのため人材の争奪戦が繰り広げられており、思うように人材が確保できず、結果として人材不足が解消できない飲食店が多くなっています。
そこで今回のコラムでは、人材の流動性が高いガソリンスタンドの現場に長年身を置いた後、経営コンサルタントとして多くの企業を見てきた経験を踏まえて、新規スタッフの早期退職を防止するための効果的な対策を見ていきます。なお、この前提として、以下のコラムを踏まえるとより効果的ですので、参考にして下さい。
1.早期退職防止の対策
(1)失敗させない
ガソリンスタンドでは、車両の燃料を販売しているわけですが、この燃料にはガソリンと軽油があります。ガソリンを燃料とする車両に軽油を給油したり、軽油を燃料にする車両にガソリンを給油したりするとエンジンに支障が出てしまい、走行不能となります。
ここでやっかいなのは「軽自動車」という車両の名称です。軽自動車の燃料はガソリンなのですが、名称に「軽」がつくので軽油を給油してしまうミスは、新規スタッフに多く見受けられます。これをやってしまうと給油した軽油を全て抜き取り、新たにガソリンを給油しなければなりません。
新規スタッフは自分がまだ職場の役に立っていないことを自覚しています。そんな中、このようなミスをしてしまうと、役に立たないばかりでなく、迷惑をかけてしまったと自分を責め、退職のリスクを高めてしまいます。
よって、新規スタッフ向けのOJT(オンザジョブトレーニング:仕事をしながら能力開発を図る)を実施した後も「それはもう教えたでしょう」と突き放すのではなく、できるだけトレーナーが寄り添って、失敗を防止する必要があります。
(2)既存スタッフの情報を開示する
新規スタッフの入社が決まると、その情報はあっという間に既存スタッフへ伝わりますので、既存スタッフは新規スタッフの名前と顔が一致しやすいものです。しかし、新規スタッフは既存スタッフのことを何も知らないため、一定期間が過ぎて職場に馴染むまでは自分の居場所がないように感じ、このことが早期退職のリスクを高めます。
ある大手量販店では、休憩室にスタッフ全員の名前、顔写真、趣味、星座、動物占いの動物などを貼り出しています。これを一番熱心に見ているのが新規スタッフです。これにより、名前と顔が一致しやすくなっただけでなく、共通の話題が見つかりやすくなり、結果として退職率が3分の1になりました。
なお、これらは貼り出さずとも、店舗スタッフ専用サイトを立ち上げて、そこで共有しても効果は発揮できるでしょう。
(3)責任者との面談機会を設ける
新規スタッフが入社して実際に働いてみると、想像と違ったことは多々発生するものであり、これがストレスとなって早期退職のリスクを高めてしまいます。そこで、入社してから一定期間経過後に店長と面談の時間を設けることを予め約束しておきます。
そうすると想像と違ったことが起きても一定期間経過後には、店長に打ち明けて疑問を解くことができるため、その面談までの期間は頑張れるものです。そしてその面談できちんと店長が新規スタッフに向き合って、疑問や不満を解消することで、その後に頑張れるパワーが湧くものです。なお、面談は入社してから2週間後が適切な印象を持っています。
このようにして早期退職を防止するとともに、飲食店やガソリンスタンドが定着率を上げて人材不足を解消する3つの対策でご紹介した従業員満足の3要素を充実させることによって、定着率を向上させていくことになります。
つまり、人材不足を解消するには、従業員満足度を上げて既存スタッフの定着率を向上させる→効果的な募集を行う→確実に面接に来ていただく→相性の合う人材を見極める→早期退職を防止する→従業員満足度度を上げて既存スタッフの定着率を向上させる…といったサイクルを回していくことがポイントとなります。ぜひこのサイクルを定着させて、人材不足を解消していただきたいと思います。
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