講演終了後に主催者からいただいた質問
先日の講演では、経営革新計画をいかに策定するか、また、策定した経営革新計画をいかに活用するか、という観点から2時間ほどお話をさせていいただきました。
その中で、戦略と戦術の違い、従業員のモチベーション向上という話で、私がガソリンスタンドに勤務していた頃の体験談を話したところ、受講者の方々がグイグイ引き込まれて来ることを感じました。
講演終了後、主催者の方から「大成功でしたね」「今まで開催したセミナーの中で3本の指に入ります」などというありがたいお言葉とともに、「ところで、三上さんは何故ガソリンスタンドにお勤めになったのですか」というご質問をいただきました。
主催者の方は、私が21年間ガソリンスタンド運営会社に勤務した経験があること、勤務しながら中小企業診断士の資格を取得したこと、その後独立し10年目を迎えること、などはご存じでしたが、そもそも、なぜガソリンスタンドに勤務しようとしたのか、という点に興味を持ったようでした。
どこでどんなご縁があるか分からない
私は学校を卒業して、その後の人生をどう過ごすべきか悩んだ時期がありました。そこで、とりあえず、色々な職に着いてみようと思い、フリーターをすることにし、故郷である青森から上京しました。
古いアパートを都内に借り、ファミレスのウエイター、トラックの運転手、お米の御用聞きと配達など、様々なアルバイトをしましたが、その中で一番長く継続できたのがガソリンスタンドのアルバイトでした。
長く継続できたということは、多分、その仕事に適性があるのだろうと判断し、都内のガソリンスタンド運営会社に就職しました。これが、私がガソリンスタンド業界入りした動機です。
この回答を受けた主催者の方が「どこでどんなご縁があるか分からないものですよね。もし、三上さんがガソリンスタンドに勤務していなければ、今日のようなお話もできなかったわけですよね」としみじみと仰っておりました。
経歴を活かす
ガソリンスタンドの雇われ店長から、経営コンサルタントに転身したという私の経歴を、異色の経歴と捉える向きが多いと感じています。これに対して、大手企業や金融機関、コンサルティング会社に勤務し、独立コンサルタントに転身したという経歴は、さほど異色ではないのかもしれません。
どちらが良い悪いという話ではなく、その経歴は活用することが重要と思っています。私は、ガソリンスタンドでの現場経験を多くのコンサルティングの場で役立ててきました。なぜなら、ガソリンスタンドでの現場経験を持ってコンサルティングをする方は、おそらく私だけだからです。
サラリーマン時代にコンサルティングの経験が無いことは、実績が無く、顧客もいないという点で弱みかもしれません。ですが、ガソリンスタンドでの現場経験があることは、現場目線があるという点で強みと言えます。多くの方がガソリンスタンドを利用したことがあり、難解な用語で経営を説明するよりも、ガソリンスタンドを例えにした経営の説明は、より理解しやすいはずです。
このように、経営者の経歴は、強みにも弱みにもなり得ます。どちらにもなり得るなら強みとして捉え、それを活かすことが重要です。
例えば、クリーニング店の実家で育った経歴は、実家からクリーニングのノウハウをもらい、コインランドリーを運営して多角化を図ることができるかもしれません。
例えば、ある県で育ち、都内で理容室を開業した経営者は、彼の同郷の方に対して割引料金を適用させることを告知して、集客力を向上させることができるかもしれません。
例えば、金融機関からガラス店に転職した経歴は、ガラス工事を依頼する事業者の財務診断をすることで、ガラス工事の付加価値を高めることができるかもしれません。
さらに、多くのロードサイド店舗では複数の店舗スタッフが働いているはずです。複数のスタッフがいると言うことは、活用できる経歴が複数あるということです。
高い集客力を身に着け競合に勝つための自社の強みの見つけ方は、経歴に着目することです。自分には取るに足りない経歴かもしれませんが、見方を変えると十分な強みになり得ることを意識していただきたいと思います。
参考コラム
事業が小規模であるほど経営者の経験・経歴が強みとなり得る理由
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戦術と戦略の違い
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