創業75年を迎えたその理容店は、夫婦2名で運営しておりましたが、前回の小規模事業者持続化補助金に採択され、今回はマッサージ用椅子の導入、看板の設置、チラシの作成と新聞折込の費用を当補助金で調達しようと考えました。
そこで同店は、応募時に提出する計画書を作成しましたが、弊社はその作成した計画書をブラッシュアップする形でご支援しました。そこで、採択の可能性を高めるためにどのような観点から計画書をブラッシュアップしたのかをご紹介します。
下図は応募時に最低限作成しなければならない書類ですが、今回のコラムでは赤枠部分「様式2-1経営計画書兼補助事業計画書①」＜補助事業計画＞Ⅰ．補助事業の内容「2．販路開拓等（生産性向上）の取組内容」を見ていきます。
なお、当コラムでは＜補助事業計画＞Ⅰ．補助事業の内容のうち「1．補助事業で行う事業名」は公序良俗に反しない限り、30文字以内にまとめるだけで済むという認識であること、「3．業務効率化（生産性向上）の取組内容」は任意記入であることから解説を割愛しています。
1．「販路開拓等（生産性向上）の取組内容」記入の仕方
同店が事前に当欄へ記載してこられた内容を拝見して感じたことは、まず、ボリュームが多すぎということです。図表をふんだんに盛り込み、細かく説明をしている点は良いのですが、それは8ページにも及ぶものでした。これをどのようにブラッシュアップしていったかを以下で見ていきます。
（1）補助事業は何なのかを冒頭に記載する
事前に記載されてきた構成を見ると、マッサージ用椅子の導入に関する説明があり、次に看板の設置に関する説明、そしてチラシの作成と新聞折込に関する説明が五月雨式に記載されておりました。ですが、まずは補助金を使ってやりたいことは何なのか、全体像を示すことで読みやすさはグッと変わってきます。
よって、冒頭に「補助事業は、①マッサージ用椅子の導入、②看板の設置、③チラシの作成と新聞折込である」と述べていただきました。
（2）5W1Hそれぞれのバランスを意識する
小規模事業者持続化補助金応募時のルールブックである公募要領には、どのような点を審査するのかが記載された「審査の観点」というページがありますが、そこには「補助事業は具体的で実現可能性が高いものとなっているか」といった趣旨の記載があります。
よって同店の場合ですと①マッサージ用椅子の導入、②看板の設置、③チラシの作成と新聞折込それぞれについて、具体的に説明を盛り込む必要があります。
弊社ではこの具体性を担保するために、いつ（When）、だれが（Who）、なにを（What）、なぜ（Why）、どこで（Where）、どのように（How）行うのかという5W1Hそれぞれを明確に記載することをお勧めしています。
これを踏まえて、同店が事前に記載されてきた内容を拝見すると、なぜ（Why）に関する記載が非常に多く、だれが（Who）、どこで（Where）、どのように（How）は、ほとんど読み取ることができませんでした。そこで、それぞれのバランスを考えた記述をお願いしました。
（3）ターゲットを絞る
マッサージ用椅子の導入と看板の設置では、働き盛りの男性、老化が気になる女性がターゲットであり、チラシの作成と新聞折込みでは、同店のことを知らない近隣住民をターゲットして補助事業を展開することとしているという記載がありました。
ですが、そもそも同店のターゲットはどなたなのでしょうか。補助事業のターゲットを明確にする前に、同店のターゲットを明確にし、そのターゲットが同店を利用したくなるようにするのが補助事業の効果をより高めるはずです。よって、補助事業ではなく同店のターゲットを改めて設定していただきました。
このようにして「2．販路開拓等（生産性向上）の取組内容」をブラッシュアップしていきましたが、次回のコラムでは「4．補助事業の効果」以降を見ていきます。
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