当事創業6年目を迎えようとしていたそのバーは、集客力を向上させるためにフリーペーパーへ広告の出稿をしたいと考えました。そこで小規模事業者持続化補助金でその資金を調達するべく、当該補助金用の計画書を作成しました。
経営者は採択の可能性を向上させるべく、弊社へどのようにして計画書のブラッシュアップをするべきかとご相談され、結果として採択されました。そこで、このバーの採択に至るブラッシュアップのプロセスをお伝えしていきます。
以下は、小規模事業者持続化補助金へ応募する際の一般的な提出書類ですが、今回は下図赤枠部分、様式2-1経営計画書兼補助事業計画書①<経営計画>「1.企業概要」について見ていきます。
1.「企業概要」の書き方
同店が事前に当欄へ記載されてきた内容を拝見すると、以下の見出しが設けられており、それぞれの下に説明が盛り込まれていました。
①店舗概要、②沿革、③客層、④強みと弱み、⑤人気メニューと売上、⑥消費単価と回転率
これらの見出しがつけられた「企業概要」をどのようにブラッシュアップしていったかを見ていきます。
(1)端的に書く
同店が記載してこられた「②沿革」は全て文章で記載されていました。これを時系列的に箇条書きにしていただくことで読みやすさはグッと変わってきます。
そして、箇条書きにすることで、紙面の右側にスペースが生じがちになります。「②沿革」には経営者の経歴に関しての記述もありましたので、空いたスペースを利用して経営者の写真も盛り込んでいただきました。
(2)書くべきところに書く
「②沿革」には立地に関する記載がありました。そして人の流れが変わってしまい、同店近隣は閑散としているという内容が書かれていました。このような内容は「市場の動向」と捉えることができます。
また、「③客層」として男女別構成比や各性別における客層の年代別構成比が記載されていました。「顧客ニーズ」は、これを踏まえて記載すると説得力が向上します。
小規模事業者持続化補助金に応募するための計画書には、「2.顧客ニーズと市場の動向」という欄があります。顧客の流れや客層に関しては、こちらの欄に記載した方が適切と判断できますので、そちらへ移動していただきました。
(3)「強みの強化」を意識する
小規模事業者にとって重要な戦略は「強みの強化」です。ですが、往々にして自店の「弱み」に目が行ってしまうケースが多く、そのような事業者は「弱み」を計画書に盛り込みがちです。同店は弱みとして、場所や店内の雰囲気が分かりにくいことを挙げておられました。そしてこれを克服するためにフリーペーパーで広告を打とうと考えています。
ですが、希少なお酒の品揃えやオリジナルカクテルの提供といった強みもあるわけで、そのような強みを多くの方に知っていただくためにフリーペーパーで広告を打つという考えの方が、ポジティブであり、成果に結びつきやすいと考えます。
このような方針に改めていただくと必然的に弱みの記載は不要となります。つまり、強みは書くべきですが、弱みは書くべきではないということです。よって「④強みと弱み」は修正をお願いしました。
(4)書くべきことを書く
同店が事前に記載されてきた「⑤人気メニューと売上」は、飲み物と食べ物それぞれにおいて月間の平均売上の高い商品ベスト5とその金額・単価が記載されていました。
日本商工会議所と全国商工会連合会が公表している「1.企業概要」の記入例には以下の記述があります。
支援機関が公表している記入例は「このように書いて下さい」というメッセージが込められていると解釈できます。よって、この赤枠部分を参考にしていただき、売上だけでなく利益の一覧も作成していただきました。
このようにして「1.企業概要」をブラッシュアップしていきましたが、次回は「2.顧客ニーズと市場の動向」を見ていきます。
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