その美容室は70代の代表が一人で切り盛りしていましたが、エステやネイルの施術ができる娘さんを後継者として新たに入店させるとともに、他の美容室で働くお孫さんも入店することとなりました。
美容室でエステやネイルの施術ができれば、ワンストップで髪も肌も爪も綺麗にすることができ、利便性が高まります。そこで、店内を仕切り、ヘアーとエステ・ネイルそれぞれの施術場所を確保するために店舗改装をすることにし、その費用を小規模事業者持続化補助金で賄うために娘さんが計画書を作成しました。
弊社は、当該補助金における採択可能性を高めるべく、その計画書のブラッシュアップをご支援しました。結果として同店は、無事採択されましたが、どのようにブラッシュアップしたのか、複数回にわたってご紹介します。
最終回の今回は、様式2-1<補助事業計画>の「4.補助事業の効果」について見て行きます。
1.小規模事業者持続化補助金<一般型>応募の全体像
まずは、全体像を把握します。事業者が単独で小規模事業者持続化補助金に応募する際は、原則として以下の書類を作成し、締め切り日までに送付する必要があります。
- 様式1-1 小規模事業者持続化補助金事業<一般型>に係る申請書
- 様式2-1 経営計画書兼補助事業計画書①
- 様式3-1 補助事業計画書②
- 様式4 事業支援計画書
- 様式5 補助金交付申請書
このうち、様式2-1と様式3-1が採択に大きな影響を及ぼします。
2.様式2-1 経営計画書兼補助事業計画書①の全体像
今回は、様式2-1経営計画書兼補助事業計画書①を見て行きますが、その構成は以下となっています。
- <応募者の概要>
- <経営計画>
- <補助事業計画>Ⅰ.補助事業の内容
3.<補助事業計画>Ⅰ.補助事業の内容の全体像
今回は、様式2-1<補助事業計画>Ⅰ.補助事業の内容を見て行きますが、その構成は以下となっています。
- 補助事業で行う事業名
- 販路開拓等(生産性向上)の取組内容
- 業務効率化(生産性向上)の取組内容
- 補助事業の効果
ここまでをまとめると、今回のコラムでは下図の赤枠で囲んだ部分を見て行くことになります。
なお、当コラムでは「1.補助事業で行う事業名」は公序良俗に反しない限り、30文字以内にまとめるだけで済むという認識であること、「3.業務効率化(生産性向上)の取組内容」は任意記入であることから、説明は割愛しています。
4.「補助事業の効果」の書き方
(1)定量的効果を盛り込む
同店が事前に書かれてきた「補助事業の効果」ですが、自店の売上が向上するという内容が記載されていました。ここで特筆するべきは、1年後、2年後、3年後の売上高を既存事業のものと補助事業によるものに切り分けて記載されていたことです。
つまり、同店は1年後の効果、2年後の効果、3年後の効果をしっかり見込んだという点で評価が高い印象を受けました。
(2)効果の根拠を盛り込む
売上は客数と客単価のかけ算で求められます。よって、売上高という定量的効果にさらなる説得力を与えるとしたら、どの程度の客数と客単価を見込んでいるのかを盛り込むとよいでしょう。
そのためにはまず、エステやネイルのメニュー構成を明確にして、それに基づいて見込み客数や見込み客単価を検討することとなります。
(3)自店以外の効果も盛り込む
補助金は公的な資金ですので、自店が享受する効果の他に広く波及効果も検討することが必要です。具体的には顧客の効果、地域社会の効果も盛り込むことをお勧めしています。
同店の補助事業の場合は、顧客の効果として、ワンストップで髪・肌・爪の美容を受けることが可能であること、地域社会の効果として、女性の外出に対するモチベーションが向上し、消費が活発化する可能性が高まることなどが挙げられます。
このようにして、計画書をブラッシュアップし、無事採択されることとなりましたが、計画を作成した代表の娘さん(後継者)が非常に粘り強く取り組んだことが印象的でした。採択される事業所は良い意味の「しつこさ」があります。締切りまで残された時間との兼ね合いはありますが、納得できるまで計画書をブラッシュアップすることにより、事業の拡大可能性を高めることとなります。
5.小規模事業者持続化補助金の申請書類作成をサポートします
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