同店は絵画をはじめとした美術品が楽しめるギャラリ-と飲食できるカフェスペースが一体となったギャラリ-カフェですが、新型コロナウイルスの影響により、客足が激減してしまいました。
そこで、新たに展示するアート作品を作家に制作していただくとともに、チラシ・ダイレクトメール・看板・ポスター・ホームページで広告を行うことにし、その費用の一部について小規模事業者持続化補助金を活用することとしました。
同店は、当補助金に応募する際に提出する申請書を作成しましたが、弊社はそれをブラッシュアップする形でご支援しました。結果として同店は当補助金に採択されましたが、どのように申請書をブラッシュアップしたのかをご紹介します。
下図は応募時に最低限作成しなければならない書類ですが、今回のコラムでは以下の赤枠部分「4.補助事業の効果」を見ていきます。
1.「補助事業の効果」の書き方
同店が当欄へ事前に記載されてきた内容は概ね以下の内容となっていました。
①昨年からの取組により、新商品の試作品を作成できる段階に来ていたが、新型コロナウイルス感染症の影響で、中断せざるを得ない状況となった。
②以下の新型コロナウイルス感染症対策を実施して展示会を行うことで、安心して来店でき、作品を閲覧鑑賞できる。
- 除菌脱臭器を設置し、店舗内の衛生維持強化を図る。
- 展示会開催は予約制にて実施し、滞在時間を1組2時間までに制限する。
- 来客席数を半減の20席として、来客人数の制限をする。
③当展示会が開催出来れば、新たに多くの方々やマスコミ関係各社にも関心を持たせ、当店の売上向上に繋げることが可能となる。
④当店のこの事業が軌道に乗れば、同業他社の参考になり、現在、困惑している多くの作家にとって事業展開の参考にもなる。
この内容をどのようにブラッシュアップしていったかを以下で見ていきます。
(1)書くべきことを書く
上述の①は現状の説明です。また、②は展示会開催の取組内容であり、両方とも当欄に書くべき「補助事業の効果」ではありません。そこで両方とも削除していただきました。
また、同店の補助事業は、チラシ・ダイレクトメール・看板・ポスター・ホームページの作成ですので、これらを実施することで見込める効果に絞って書く必要があります。
よって、③④に関しても、同店における今回の補助事業の効果とは捉えがたく、根本的に見直しをしていただきました。
(2)利益の上昇という効果を書く
補助金の財源は税金ですので、補助金という名前の税金を受け取るわけです。よって、これを活用して、納税額の向上が期待できなければ、補助金を交付することは困難になります。
納税額は利益額が影響を及ぼしますので、利益額がどれくらい上昇するのかという効果を記載する必要があります。同店は売上の上昇という効果を示していますが、具体的にどの程度売上が上昇するのかとともに、利益に関しても上昇見込額を記載していただきました。
(3)自店以外の効果も書く
売上・利益を上昇させるためには、顧客が享受できるメリット、つまり顧客の効果も与える必要があります。また、補助金という公的資金を使う以上、地域社会の効果も与える必要があります。
よって、例えば「多くの方が当店の魅力を知ることができる」といった顧客の効果や「芸術作品に触れることにより、地域の文化的素養が醸成される」といった地域社会の効果も盛り込む必要があります。
このようにして「4.補助事業の効果」をブラッシュアップしていきましたが、当事例は、書くべきことを書くべき欄に書けていないという罠に陥っている箇所が非常に多かった事例です。当コラムを参考にしていただき、この非常に陥りやすい罠ヘの対策をとっていただければと思います。
なお、「4.補助事業の効果」より前の項目の書き方に関しては以下のリンクを参考にして下さい。
持続化補助金の採択で立て直しを図ったカフェの申請書作成事例①
持続化補助金の採択で立て直しを図ったカフェの申請書作成事例②
持続化補助金の採択で立て直しを図ったカフェの申請書作成事例③
持続化補助金の採択で立て直しを図ったカフェの申請書作成事例④
持続化補助金の採択で立て直しを図ったカフェの申請書作成事例⑤
2.小規模事業者持続化補助金の計画書作成をサポートします
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