「人件費を補助金で賄うことはできないのですか」このような質問をよくいただきます。少なくとも小規模事業者持続化補助金で固定的な人件費を賄うことは難しいとお答えしていますが、人件費を引き上げる取組みにより、補助上限額が通常枠の4倍になるのが、今回見ていく「賃金引上げ枠」です。
当コラムでは2022年3月22日に公開された小規模事業者持続化補助金<一般型>の公募要領や参考資料に基づき、「賃金引上げ枠」のポイントを述べていきます。なお、これらの資料は以下のサイトからダウンロードすることができます。
1.上限200万円!小規模事業者持続化補助金「賃金引上げ枠」のポイント
「賃金引上げ枠」は、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上とした事業者に対して、補助率は3分の2のまま、補助上限額を200万円へ引き上げるものです。この「賃金引上げ枠」で申請する場合のポイントは以下となります。
上限200万円!小規模事業者持続化補助金「賃金引上げ枠」のポイント(1)最低賃金の対象者にはパートタイマーが含まれる
小規模事業者持続化補助金は、文字通り小規模事業者を対象としています。小規模事業者持続化補助金<一般型>のホームページ(商工会議所地区)からダウンロードできる参考資料によると、小規模事業者であるか否かは従業員規模で判断され、この場合の従業員にパートタイマーは含まれません(下図下線部分参照)。
ですが、同資料によると「賃金引上げ枠」に申請する際の、最低賃金の対象者にパートタイマーは含まれます(下図参照)。
よって、パートタイマーが含まれない従業員規模で小規模事業者の要件をクリアしたからといって、最低賃金の対象者はパートタイマーが含まれない従業員だけと認識してしまうと、申請できる資格を棒に振ってしまうリスクが発生してしまいます。
上限200万円!小規模事業者持続化補助金「賃金引上げ枠」のポイント(2)赤字事業者は補助率が上がる
前述の通り「賃金引上げ枠」は補助率3分の2のまま、補助上限額を200万円へ引き上げるものですが、赤字事業者がこれに採択された場合は補助率が4分の3に引き上がることになっています。なお、ここでいう「赤字事業者」とは、当補助金公募要領によると以下となっています。
上限200万円!小規模事業者持続化補助金「賃金引上げ枠」のポイント(3)基準は申請1か月前と補助事業終了時点
「賃金引上げ枠」は、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上とした事業者が対象ですが、これは補助事業終了時点でこの賃金水準になっている必要があります。
また、既に事業場内最低賃金が地域別最低賃金より+30円以上を達成している場合は、現在支給している事業場内最低賃金より+30円以上とする必要がありますが、この「現在」の水準は、当補助金申請の直近1か月で支給している賃金水準を指します。
例えば、当補助金第8回の申請締め切り日である2022年6月3日の当日に申請し、補助事業実施期間ギリギリの2023年2月28日まで当補助事業を実施した場合は、以下の賃金水準をクリアする必要があります。
- 2022年5月(申請ひと月前)の賃金水準に対して、2023年2月(補助事業終了時点)の賃金水準が地域別最低賃金より+30円以上
- 2022年5月(申請ひと月前)の賃金水準がすでに地域別最低賃金より+30円以上の場合は、2023年2月(補助事業終了時点)の賃金水準が2022年5月の事業場内最低賃金より+30円以上
そして、この要件を満たしていない事業者は、交付決定がなされていても補助金の交付はされないこととなっています。補助金によっては、交付決定がされても業績が上がらず、賃金を上げることができなかった場合に、大目に見てもらえるケースもあるようですが、当補助金に関してはそれが通用しないと解釈できます。
今回のコラムでは、2022年3月22日に公開された、小規模事業者持続化補助金<一般型>「賃金引上げ枠」のポイントとして、(1)最低賃金の対象者にはパートタイマーが含まれる、(2)赤字事業者は補助率が上がる、(3)基準は申請1か月前と補助事業終了時点、を挙げました。制度をよく理解した上で、自社にとって最適な枠をチョイスするようにしましょう。
2.当コラムの解説動画
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