小規模事業者持続化補助金の採択ポイント:工務店の事例③

小規模事業者持続化補助金

 同社は、先代の父から事業を引き継いだ2代目が経営する工務店で、新築住宅やリフォームを提供しています。これまで積極的に営業をしなくても、顧客からのご紹介などにより業績は維持できておりましたが、高齢に伴い自宅を手放す既存顧客が目立つようになり、業績が厳しくなってきました。

 そこで、現状を打破するために(1)ホームページの新規立ち上げ、(2)チラシの作成・配布を行うこととし、その費用負担を軽減するために小規模事業者持続化補助金を活用することとしました。そのために同社は計画書を作成し応募をしましたが、結果は不採択となってしまいました。

 これを受け、同社は計画書のどこをどのように改善するべきか、弊社の添削サービスをご利用されました。これにより計画書をブラッシュアップできた同社は、2回目の応募で採択されましたが、当コラムでは、どのように計画書をブラッシュアップしていったのかをご紹介します。

 下図は応募時に作成する書類ですが、今回のコラムでは下図の赤枠部分、様式2-1 経営計画書兼補助事業計画書①<経営計画>「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を見ていきます。

1.「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」の書き方

(1)顧客に与える価値を検討する

 小規模事業者持続化補助金の採択ポイント:工務店の事例①でご紹介したように、同社は「1.企業概要」に自社の強みを記載していましたので、それを「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」に移動していただきました。

 その内容の中に「大手業者と異なり、建設の際は既製品を多用せず、手造りによるオンリーワンの住環境が提供できる。」という強みがありましたが、これによって顧客にどのような価値を提供できるのかが不明となっています。

 例えば「手造りによるオンリーワンの住環境が提供できる」ことにより「顧客の要望に迅速に応じることができる」であったり「顧客のライフスタイルに応じた高い満足度を提供できる」であるなど、その強みによって顧客に提供できる価値を述べることで、強みの説得力が高まりますので、検討の上、記載をしていただきました。

(2)結果の要因を検討する

 同じく「国産木材を活用した内装材や建具をデザインして提供できる。」という強みの記載もありましたが、これは結果であり、なぜ国産木材を活用できるのかが不明となっています。そしてこの「なぜ」が真の強みとなっている場合が多いと言えます。

 例えば「国産木材を仕入れることのできる独自ルートを保有しているため」であったり「○○年に及ぶ国産木材の取扱いにより蓄積したノウハウがあるため」に「国産木材を活用した内装材や建具をデザインして提供できる。」といったこの要因が、真の強みであるということです。

(3)切り口を意識する

 当欄のタイトルは「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」ですから、【自社の強み】と【自社の提供する商品・サービスの強み】に切り分けていただきました。さらに【自社の強み】は「人」「物」「金」「情報」という経営資源の切り口から検討・記載をしていただきました。

 多くの場合、「人」と「情報」の強みを記載することになります。「人」であれば、経営者や従業員の経歴やスキル、「情報」であれば、ノウハウや受発信している情報が挙げられますが、切り口に沿った強みであるかどうかということよりも、切り口を活用して多くの強みを見出すことが重要です。

 このようにして、「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」をブラッシュアップしていただきましたが、次回のコラムでは「4.経営方針・目標と今後のプラン」を見ていきます。

2.小規模事業者持続化補助金の計画書作成をサポートします

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