小規模事業者持続化補助金の採択ポイント:学習塾の事例①

小規模事業者持続化補助金

 学習塾を営む同社代表は、学校卒業後に学習塾に20年間勤務した後、10年前に創業しました。日々、生徒によりよい授業を提供するためには何をするべきかと考える中、電子黒板を導入したいと考えるようになりました。

 電子黒板は、インターネットや教科書上の図表・画像を、ディスプレイ用ホワイトボードに映し出し、それらの移動・拡大・縮小・保存などの他、書き込みなどもできるものですが、これを導入するにあたり、小規模事業者持続化補助金を活用することとしました。

 そのために同社が作成した計画書を弊社が添削し、それを受けて同社は計画書をブラッシュアップして応募した結果、当補助金に採択されたわけですが、そのブラッシュアップのプロセスをご紹介していきます。

 下図は応募時に作成する書類ですが、今回のコラムでは赤枠部分、様式2-1 経営計画書兼補助事業計画書①<経営計画>「1.企業概要」を見ていきます。

1.「企業概要」の書き方

(1)売上・利益総額の大きい講座を記載する

 小規模事業者持続化補助金の事務局的な役割を果たしている日本商工会議所全国商工会連合会では、小規模事業者持続化補助金に応募する際に作成する計画書の記入例を公開しています。

 記入例でとり上げられている業種は、海鮮居酒屋、カフェ、割烹料理店、宿泊業、カラオケ店、旅行業ですが、「1.企業概要」における各記入例の特徴としては以下が挙げられます。

  • 海鮮居酒屋、カフェ→売上総額・利益総額の大きい商品の一覧表
  • 割烹料理店→会席料理・店舗の写真
  • 宿泊業、カラオケ店→3年間の売上推移
  • 旅行業→顧客、売上構成

 このことから言えるのは「1.企業概要」には、売上に関する記述は盛り込むべきであるということです。同社では売上と利益の大きい講座ベスト5の講座名・売上高・利益額を一覧表にして、金額とともに盛り込みました。

 これにより、同社としては売れ筋の講座がどれだけ売上・利益に寄与しているのかを数値で捉えることができ、今後の戦略策定に役立てることができますし、読み手としては同社が展開している講座や事業規模が分かるため、リアリティが高まる効果が期待できます。

(2)見出しと内容の整合性を検討する

 同社は「1.企業概要」に【経営理念】という見出しを設け、その内容を記載していました。経営理念とは「貴社はなんのために存在しているのですか」という問いに対する答えであり、自社の存在意義を示します。

 ところが、同社が記載してきた内容を拝見すると、「受験とは何なのか」「受験を通して得られるもの」「受験を通して養うべきこと」といった受験生向けのメッセージが記載されており、【経営理念】という見出しとは内容がずれている印象を受けました。そこで、経営理念の意味を確認していただき、記載を修正していただきました。

(3)書くべきことを書く

 同社は当欄に【当塾の特長】という見出しを設け、その内容を記載していましたが、自社の特長とは、自社の強みと同義と考えられます。それは<経営計画>の「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」に書くべきことですので、そちらへ移動していただきました。

 「1.企業概要」は何でも書けてしまうため、他の欄に書くべきことも記載してしまう例は非常に多い印象があります。よって「果たしてこの内容はここに書くべきことなのか」と常に自問しながら構成を決めていく必要があります。

 このようにして「1.企業概要」のブラッシュアップをしていきましたが、次回はこれに続く「2.顧客ニーズと市場の動向」について見ていきます。

2.小規模事業者持続化補助金の計画書作成をサポートします

 弊社の1,000件を超える支援実績を通じて蓄積してきたノウハウを活用して、計画書作成のサポートを行い、採択の可能性を高めます。詳しくはこちらから↓↓↓

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