同社代表は、学習塾運営会社に20年間勤務した後、10年前に創業しましたが、生徒によりよい授業を提供するためには何をするべきかと日々考える中、電子黒板を導入することにしました。
電子黒板は、インターネットや教科書上の図表・画像を、ディスプレイ用ホワイトボードに映し出し、それらの移動・拡大・縮小・保存などの他、書き込みなどもできるものですが、これを導入するにあたり、小規模事業者持続化補助金を活用することとしました。
そのために同社が作成した計画書を弊社が添削し、それを受けて同社は計画書をブラッシュアップして応募した結果、当補助金に採択されたわけですが、そのブラッシュアップのプロセスをご紹介していきます。
下図は応募時に作成する書類ですが、今回のコラムでは赤枠部分、様式2-1 経営計画書兼補助事業計画書①<経営計画>「2.顧客ニーズと市場の動向」を見ていきます。
1.「顧客ニーズと市場の動向」の書き方
(1)正しい構成を検討する
同社が当欄に記載してきた内容を拝見すると、[顧客の状況]、[競合他社の状況]という見出しが設けられていました。ですが、当欄のタイトルは「顧客ニーズと市場の動向」ですので、素直に見出しを設けるなら【顧客ニーズ】、【市場の動向】になるはずです。
よって見出しをそのように変えていただき、【市場の動向】として[顧客の状況]、[競合他社の状況]を記載していただきました。
(2)根拠を盛り込む
同社は、[顧客の状況]として「少子化の影響で全体的に生徒数が減少しつつある」と記載していました。確かに少子化が進んでいることは事実であろうと思いますが、一般論に過ぎず、より説得力を高めるためには、自社に絡めた形で根拠を盛り込むことが必要です。
具体的には、自社の商圏において少子化がどれだけ進んでいるのかを統計データなどで示すわけですが、この際に利用したいのが、ビッグデータを活用して地域毎の人口動向を把握できるRESASです。公募要領でも紹介されているので、積極的に活用していただきたいと思います。
(3)競合を個別に分析する
同社は、[競合他社の状況]として、以下のような内容を記載していました。
- 学習塾の運営業者は横のつながりを軽視しがちである。
- ここ1年で○○地域の競合が2か所廃業した。
- ●●地域で看板を出している学習塾はほとんどない。
- ◎◎、△△など大手チェーンの学習塾と商圏が一部重複している。
なぜ、競合他社の状況を記載するのかというと、「2.顧客ニーズと市場の動向」の次の項目である「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」に記載する内容の妥当性や説得力を向上させるためです。
強みは、競合と比較して優位性のある経営資源を指しますので、比較対象がどういう状況なのかを具体的に記載する必要があります。よって、競合の屋号・住所・当社からの距離や時間、当社から見たその競合の特徴を一覧表にして盛り込んでいただきました。
このようにして「2.顧客ニーズと市場の動向」のブラッシュアップをしていきましたが、次回は「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」について見ていきます。
2.小規模事業者持続化補助金の計画書作成をサポートします
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