持続化補助金に採択されたダンス用品販売店の計画書作成事例②

小規模事業者持続化補助金

 その企業は、ダンス用ドレス生地の卸売業として創業し、20年の業歴の中で卸売の他に小売店やダンススタジオも展開するようになっていました。一時は映画「Shall we ダンス?」のヒットなどでダンス人口が増加し、同店の業績も大きく向上した時期がありましたが、近年は売上低下が頭痛の種になっていました。

 そこで販売促進を強化するべく、小規模事業者持続化補助金を活用することとし、応募のための計画書を作成することにしました。そのご支援を弊社が行い、結果として採択されたわけですが、どのようにしてこのダンス用品販売店が、採択レベルの計画書を作成していったのかをご紹介していきます。

 今回のコラムでは、下図の提出書類一覧表の赤枠部分、「様式2-1経営計画書兼補助事業計画書①」<経営計画>「2.顧客ニーズと市場の動向」を見ていきます。

1.「顧客ニーズと市場の動向」記入の仕方

(1)当欄がある理由を認識する

 経営は月日を重ねる毎に経験値が蓄積されていき、経営手法は上手くなっていくはずなので、本来、業績は右肩上がりであるべきと弊社では考えています。ですが、実際問題として業績の前年割れを起こすのは、外部環境の変化に対応した経営をしていなかった可能性が高いと言えます。

 顧客ニーズや市場の動向といった外部環境の変化を捉えていないと、外部環境の変化に対応できないのは当然のことです。よって、そのような外部環境がどうなっているのかを認識するために当欄があると弊社では考えており、それをご理解いただいた上で当欄の記載に取りかかっていただきました。

(2)当欄を切り分ける

 当欄に「顧客ニーズと市場の動向」をまとめて書こうとすると、脈絡がなく冗長になりがちで、伝えたいことが読み手に伝わりにくくなってしまいます。よって、当欄に【顧客ニーズ】【市場の動向】と2つの見出しを設け、内容を切り分けて記載していただきました。

(3)「顧客ニーズ」を切り分ける

 同社には、ダンス用品の販売を行うショップ部門とダンスの指導をするダンススタジオ部門があります。よって、それぞれの部門に対する顧客ニーズも異なることから、ショップ部門に対する顧客ニーズとダンススタジオ部門に対する顧客ニーズに切り分けて記載していただきました。

 さらに、ショップ部門では、事業者向けにダンスドレス用生地の卸売と、消費者向けにダンスドレスを始めとしたダンス用品の小売の両方を手がけています。そこで、消費者のニーズと事業者のニーズに切り分けていただきました。よって、「顧客ニーズと市場の動向」欄には以下の見出しを設けていただきました。

【顧客ニーズ】

 ①ショップ部門に対するニーズ

  ・事業者のニーズ

  ・消費者のニーズ

 ②ダンススタジオ部門に対するニーズ

【市場の動向】

(4)競合が見つからない場合にどうするか

 今回見ている「2.顧客ニーズと市場の動向」の次にあるのは「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」です。弊社では「強み」の定義を「顧客に価値を提供でき、競合より優れている経営資源」としています。よって、比較対象の競合を洗い出す必要があります。この洗い出した結果についても「市場の動向」として記載する必要があると考えていますが、同社の場合、競合を見つけることができませんでした。

 ダンス用品の販売店やダンススタジオの運営企業に限らず、スポーツ用品の販売や指導という観点からも探していただきましたが、どうしても競合が見つかりません。そこで、無理に競合を探すのは止めて、ダンス愛好家の人口推移と全国のダンス教室・従業員数の推移を記載するに留めました。

 このダンス教室・従業員数については、総務省統計局の経済センサス基礎調査を活用しました。

 このようにして「2.顧客ニーズと市場の動向」を記載していただきましたが、次回は「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を見ていきます。

2.小規模事業者持続化補助金の申請書類作成をサポートします

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