持続化補助金に採択されたダンス用品販売店の計画書作成事例⑤

小規模事業者持続化補助金

 その企業は、ダンス用ドレス生地の卸売業として創業し、20年の業歴の中で卸売の他に小売店やダンススタジオも展開するようになっていました。一時は映画「Shall we ダンス?」のヒットなどでダンス人口が増加し、同店の業績も大きく向上した時期がありましたが、近年は売上低下が頭痛の種になっていました。

 そこで販売促進を強化するべく、小規模事業者持続化補助金を活用することとし、応募のための計画書を作成することにしました。そのご支援を弊社が行い、結果として採択されたわけですが、どのようにしてこのダンス用品販売店が、採択レベルの計画書を作成していったのかをご紹介していきます。

 今回のコラムでは、下図の提出書類一覧表の赤枠部分、「様式2-1経営計画書兼補助事業計画書①」<補助事業計画>Ⅰ.補助事業の内容「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」を見ていきます。

 なお、当コラムでは<補助事業計画>のうち、「1.補助事業で行う事業名」は公序良俗に反しない限り、30文字以内にまとめるだけで済むという認識であること、「3.業務効率化(生産性向上)の取組内容」は任意記入であることから解説を割愛しています。

1.「販路開拓等(生産性向上)の取組内容」記入の仕方

(1)取組内容を切り分ける

 同社は、小規模事業者持続化補助金を使って、ダンス用ドレス生地のカタログ・サンプルとダンス用シューズのカタログを作成しようと考えていました。このように複数の取組を行うケースは多いはずですが、「販路開拓等(生産性向上)の取組内容」として、複数の取組をまとめて書こうとすると、内容が冗長になりがちで、読み手に伝わりにくくなってしまいます。

 そこで「ダンス用ドレス生地のカタログ作成」「ダンス用ドレス生地のサンプル作成」「ダンス用シューズのカタログ作成」に切り分けて記載しました。

(2)取組内容説明のアウトラインを決める

 読み手に取組内容が伝わるように書くには、思いつくままに書くのではなく、書く前にデザインすることが重要です。同社では3つの取組内容を当欄に記載しましたが、それぞれに【概要】【具体的取組内容】【創意工夫の特徴】を記載することを事前に決めてから、記載しました。

 【概要】ではどんな取組内容なのか一言で述べ、【具体的取組内容】ではその取組内容の具体的な行動を述べ、【創意工夫の特徴】ではその取組内容は自社なりにどんな工夫をしたのかを述べました。以下でなぜそのようなアウトラインにしたのかを述べていきます。

(3)公募要領「審査の観点」を意識して記載する

 小規模事業者持続化補助金の応募に関するルールブックである「公募要領」には下図に示した「審査の観点」の記載があります。

 上記「審査の観点」の③④は補助事業計画に関する審査の観点と判断できますが、今回見ている「販路開拓等(生産性向上)の取組内容」に関する審査の観点で重要と判断できる点は上図の赤枠部分です。

 まず、「補助事業は具体的で」とありますので、取組内容を具体的に記載します。その際に有効なのが、いつ(When)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どこで(Where)、どのように(How)の5W1Hを記載することです。

 例えば「ダンス用ドレス生地のカタログ作成」であれば、以下のように記入しました。

 また、前述の「審査の観点」に「創意工夫の特徴があるか」という記載があることから、自社なりにどのような工夫をしたのかも記載しました。例えば「ダンス用ドレス生地のカタログ作成」であれば、以下のように記載しました。

 【創意工夫の特徴】ドレス生地のみに絞った写真入りカタログとする。既存のカタログは生地だけでなく、ダンス用品全般が記載されており、分厚いものとなっているだけでなく、英語表記である。そのため、社交ダンス用ドレスメーカーの担当者がカタログを見ても、目的の生地に行き着きにくく、品質の高さも理解しにくい。この問題点を当該カタログで解消する。

 このようにして「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」を記載していただきましたが、次回は「4.補助事業の効果」以降を見ていきます。

2.小規模事業者持続化補助金の申請書類作成をサポートします

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