持続化補助金に採択された電気工事店の計画書作成事例②

小規模事業者持続化補助金

 同店は、家電量販店の下請事業者として、エアコンの設置工事を手掛ける家族経営の電気工事店ですが、さらに収益性を向上させるために、最終ユーザーとの直請取引を拡大し、自店で販売したエアコンを、自店で設置工事するサービスを提供することとしました。

 この新規事業を展開するにあたって、ホームページ、チラシ、ノベルティマグネット(冷蔵庫などにメモ留めとして使っていただく告知用のマグネット)を作成することとし、その費用を小規模事業者持続化補助金で調達することとしました。

 当補助金の計画書策定に関するご支援を弊社が行い、無事採択されたわけですが、同店が採択される計画書をどのように作成したのかをご紹介します。今回のコラムでは、下図の提出書類一覧表の赤枠部分、「様式2-1経営計画書兼補助事業計画書①」<経営計画>「2.顧客ニーズと市場の動向」を見ていきます。

1.「顧客ニーズと市場の動向」記入の仕方

(1) 「顧客ニーズ」と「市場の動向」以外は書かない

 同店が当欄に予め書かれた内容を拝見すると「現在の営業活動とその結果」「現場の声」「現在の取組」「ターゲットとなるユーザー」といった見出しが並んでおりました。ですが、当欄は「顧客ニーズと市場の動向」ですので、見出しはまず【顧客ニーズ】と【市場の動向】を設けるべきです。その上で、見出しに応じた内容を記載していくこととなります。

(2) 顧客の声から顧客ニーズを読み取る

 【顧客ニーズ】は当店を利用することにより顧客が果たしたい目的であり、顧客が表出させた要望である「顧客の声」とは別物です。よって、「顧客の声」を活かすなら、それから読み取れる【顧客ニーズ】を記載する必要があります。

 例えば「この辺は量販店しかないので、何かあった時に対応してくれる所がほしい」という顧客の声があったとしたら、「画一的ではなく個別に迅速な対応をして欲しいというニーズ」が読み取れます。

 また、「女性が工事に来てくれると安心する」という声があったとしたら「自室に入室させても安全な同性に工事を任せたいという女性のニーズ」が読み取れます。

 このように顧客から読み取ることのできた【顧客ニーズ】を日々の業務を振り返って、記載していただきました。

(3) 競合の動向を盛り込む

 当欄には【顧客ニーズ】の他に【市場の動向】も記載する必要がありますが、その内容としては商圏人口の推移や、同店が取り扱っているエアコンに関する市場規模の推移などが考えられます。

 さらに盛り込みたいのは「競合の動向」です。これを盛り込むことにより、次に記載する「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」の説得力向上が期待できます。強みは差別的優位性を持った経営資源であり、競合他社の経営資源と比較する必要があるからです。

 このようにして「2.顧客ニーズと市場の動向」を記載していただきましたが、次回は「3.自社や自社の提供する商品・サービス」について見ていきます。

2.小規模事業者持続化補助金の申請書類作成をサポートします

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