同店は、家電量販店の下請事業者として、エアコンの設置工事を手掛ける家族経営の電気工事店ですが、さらに収益性を向上させるために、自店でエアコンを販売し、そのエアコンを自店で設置工事するという、最終ユーザーとの直請取引を拡大するための取組を強化することとしました。
この新規事業を展開するにあたって、ホームページ、チラシ、ノベルティマグネット(冷蔵庫などにメモ留めとして使っていただく告知用のマグネット)を作成することとし、その費用を小規模事業者持続化補助金で調達することとしました。
そして、同店における当補助金の計画書策定に関するご支援を弊社が行い、無事採択されたわけですが、同店が採択される計画書をどのように作成したのかをご紹介します。今回のコラムでは、下図の提出書類一覧表の赤枠部分、「様式2-1経営計画書兼補助事業計画書①」<経営計画>「4.経営方針・目標と今後のプラン」を見ていきます。
1.「経営方針・目標と今後のプラン」記入の仕方
(1) 書くべきことを書く
同店が事前に記載されてきた内容を拝見すると【経営方針】【目標】【今後のプラン】の他に「課題」という見出しがありました。当欄のタイトルは「経営方針・目標と今後のプラン」ですので、見出しとして【経営方針】【目標】【今後のプラン】を設けるのは妥当性がありますが、「課題」という見出しを当欄に設ける妥当性には疑問符がつきます。
また「課題」という見出しのもとに書かれた記述内容は「次年度は、下請け事業からの撤退を進めるとともに、新規事業の取り組み費用がかかることにより、収益性が低下する」というものであり、この内容は【経営方針】設定の背景であるため、【経営方針】へ移動するか、削除することをお勧めしました。
(2) 見出しと内容の整合性を検討する
同店が【目標】として事前に記載された内容は、3年間の売上・利益目標と以下の記述でした。
かねてから、収益性の向上を図ろうと新たな取り組みを検討していたが、当社の強みである接客力の高さを活かそうと考え、一般ユーザーをターゲットとすることにし、オフシーズンにエアコンの販売・設置工事を安価で行うこととした。
これは、目標ではなく新規事業を立ち上げるきっかけの話ですので、削除していただき、【目標】として3年間の売上・利益のみを掲げていただきました。
(3) 中長期的かつ全体的な計画を記載する
同店は【今後のプラン】として、補助事業として実施する①ホームページ作成、②チラシ作成・配布、③ノベルティマグネット作成・配布の他に、④ブログの立上げ・更新、⑤手作り新聞の作成・配布、をいつから実施するのか、という内容を記載していました。
ですが、目標を3年間のスパンで設定していますので、それを達成させるための行動を3年間のスパンで検討する必要があります。よって、1年目は何をする、2年目は何を、3年目は…という形で行動をさらに洗い出していただきました。
この際に、行動の目的を「経営資源を充実させるため」とすることで、「人的資源」「物的資源」「財務的資源」「情報的資源」それぞれを充実させるための行動を検討することとなり、今後とるべき行動を洗い出すことが、容易になります。
同店は、このような手順で「4.経営方針・目標と今後のプラン」を記載していただきましたが、次回は<補助事業計画>「Ⅰ.補助事業の内容 2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」について見ていきます。
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