同店は、地方都市に立地し、親子2代にわたって経営を継続してきた鮮魚店です。これまで近隣の大型スーパーと差別化を図りながら事業展開を行ってきましたが、より顧客満足度を高めるために店舗改装を行うことにしました。そこで、その費用の一部を小規模事業者持続化補助金で調達するために計画書を作成し、応募した同店は当補助金に採択されました。
今回のコラムは、同店が作成した持続化補助金応募用の計画書を題材に、どのように計画書を記載すれば採択に近づけるのか、そのポイントを見て行くシリーズの3回目です。
以下は、小規模事業者持続化補助金<一般型>に応募する際に作成する資料ですが、今回のコラムでは、その赤枠部分、様式2-1経営計画書兼補助事業計画書① <経営計画> 「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」について見ていきます。
なお、当コラムの内容は<低感染リスク型ビジネス枠>にも応用できますので、そちらに応募を予定されている方もご参考にして下さい。
1.「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」の書き方
一般には事業を拡大させるために補助金を使うわけですが、そのためには弱みを克服するという方向よりも、強みを強化・活用する方向の方が効果は大きいはずです。マイナス10の状況を10改善してもプラマイゼロの領域止まりですが、プラス10の状況を10改善すればプラス20の領域に自社を置くことができます。
経営資源に制約が大きい小規模事業者ほど、強みを強化・活用する方向が望ましいわけですが、そのためには自社の強みを認識する必要があります。東京五輪まっただ中の現在ですが、自身の持ち味を出した選手が勝つのは自身の持ち味を知っているためであることは当然の話です。では、今回取り上げている鮮魚店はどのような強みをどのように記載したのかを見て行きます。
(1)一番の強みを冒頭に記載する
どんな事業者でも強みは様々あるはずですが、これを単に羅列したのでは読み手に対する訴求力は高くありません。同店も当欄に多数の強みを列挙しましたが、まず冒頭に「見た目にも美しく、食べても美味しい刺身と惣菜が一番の強みである」と一番の強みを冒頭に端的に示しました。
(2)ビジュアルに訴求する
冒頭に示した同店における一番の強みをさらに訴求するために同店が行ったのは、お刺身や惣菜の写真を盛り込むことでした。同店が作った仕出し弁当、お刺身の盛り合わせ、焼き魚、オードブルと4枚の写真を掲載し、ビジュアルに訴求しました。これにより、読み手の納得度を高める効果があったはずです。
(3)強みを切り分ける
前述のように、同店は冒頭に一番の強みを端的に記載し、続いて写真を用いてビジュアルに訴求した上で、その他の強みを列挙しました。この際に、単に列挙するのではなく、見出しを設けてグルーピングすると強みが洗い出しやすくなりますし、読み手にも伝わりやすくなります。
同店は当欄のタイトル「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を元に【お店の強み】【商品の強み】【サービスの強み】と3つに切り分けて記載しました。ただし【サービスの強み】に記載された内容は【お店の強み】【商品の強み】に振り分けることが可能でした。
例えば、【サービスの強み】として実際に書かれた「顧客が買いに来る時間に合わせて刺身の切りつけを行う」は【お店の強み】、「刺身の盛り付け見栄えの良さ」は【商品の強み】になり得ます。
よって【お店の強み】【商品の強み】【サービスの強み】ではなく、【お店の強み】と【商品・サービスの強み】に切り分け、後者については、提供する商品の強みの記載だけで良かったのではないかと思います。美容室やエステサロンといったサービス業であれば【商品・サービスの強み】として提供しているサービスの強みを記載すれば良いでしょう。
このように、同店は「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」の記載に当たって(1)一番の強みを冒頭に記載する、(2)ビジュアルに訴求する、(3)強みを切り分ける、といったポイントを踏まえました。次回のコラムではこれに続く「4.経営方針・目標と今後のプラン」について見て行きます。
2.小規模事業者持続化補助金の計画書作成をサポートします
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