同店は、地方都市に立地し、親子2代にわたって経営を継続してきた鮮魚店です。これまで近隣の大型スーパーと差別化を図りながら事業展開を行ってきましたが、より顧客満足度を高めるために店舗改装を行うことにしました。そこで、その費用の一部を小規模事業者持続化補助金で調達するために計画書を作成し、応募した同店は当補助金に採択されました。
今回のコラムは、同店が作成した持続化補助金応募用の計画書を題材に、どのように計画書を記載すれば採択に近づけるのか、そのポイントを見て行くシリーズの6回目です。
以下は、小規模事業者持続化補助金<一般型>に応募する際に作成する資料ですが、今回のコラムでは、その赤枠部分、様式2-1経営計画書兼補助事業計画書① <補助事業計画>Ⅰ.補助事業の内容 「4.補助事業の効果」について見ていきます。
なお当コラムの内容は<低感染リスク型ビジネス枠>にも応用できますので、そちらに応募を予定されている方もご参考にして下さい。
1.「補助事業の効果」の書き方
(1)3方向からの効果を記載する
補助事業の効果として、売上や利益が上がるといった【当店の効果】のみを記載するケースが散見されますが、同店ではそれだけでなく【顧客の効果】、【地域の効果】も記載しました。
【当店の効果】は【顧客の効果】があるからこそ得られるはずです。同店は「健康に配慮した添加物の少ない食を提案するという当店の特徴を補助事業によって広範囲の方が知ることができる」といった内容の【顧客の効果】を記載しました。これがあるからこそ、売上拡大という【当店の効果】を得られるわけですから、【顧客の効果】の記載は妥当性があります。
また、補助金という公的資金を活用するわけですから、【地域の効果】として公共性を訴求することも説得力が向上するでしょう。同店は「顧客の食の喜びと健全な生活に寄与することで、地域にも微力ながら貢献できる」というやや説明不足の感が否めない記載をしましたが、それでも【地域の効果】に目が向いていることは評価されて良いのではないでしょうか。
(2)詳しく記載する
【当店の効果】として、単に「売上が向上する」という記載では説得力が高いとは言えません。売上高は客数と客単価によって算出されますので、同店は補助事業によって増加する見込みの顧客数と平均客単価を記載することで、売上高向上という効果をより詳しく説明しました。
(3)自店の効果を厚く記載する
同店が当欄に記載した字数は385文字でしたが、そのうち8割弱を占める222文字は【当店の効果】であり、多くの字数を【当店の効果】に使っています。
なお、計画書を5枚以内に収めなければならない小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>の「補助事業の効果」を記載する欄には以下の記載があります。
補助事業の実施により、自社の経営に与える効果について記載してください。
これを踏まえると、当店・顧客・地域という3つの効果の中でも【当店の効果】が重視されると解釈することができ、当事例のように【当店の効果】に字数を費やし、厚く記載することは妥当性があると判断できます。
ここまで全6回にわたり、小規模事業者持続化補助金<一般型>に採択されて店舗改装を実施した鮮魚店の計画書作成ポイントをご紹介してきましたが、非常にオーソドックスな構成であったことが説得力を高め、採択に繋がった印象があります。これから応募をされる方のご参考になれば幸甚です。
2.小規模事業者持続化補助金の計画書作成をサポートします
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