持続化補助金に不採択だった事例から学ぶ効果的な計画書の書き方①

小規模事業者持続化補助金

 同社は、地域の企業が使う広告宣伝ツールの制作を手掛けていますが、新型コロナウイルス感染症の拡大により、広告宣伝の需要が激減し、同社の業績も落ち込んでしまいました。

 そこで、同社の販路を地元から全国へ広げるために、インターネットをこれまで以上に活用することとし、それにかかる費用の一部を小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型>で調達しようと申請をしましたが、不採択という結果になってしまいました。

 そこで今回のコラムから5回に分けて、同社が作成した計画書がなぜ不採択という結果を招いてしまったのか検討していきますが、今回のコラムでは当計画書を作成する前提について見ていきます。なお、当コラムの内容は2022年2月10日時点の情報に基づいています。

1.持続化補助金に不採択だった事例から学ぶ効果的な計画書の書き方【前提編】

持続化補助金に不採択だった事例から学ぶ効果的な計画書の書き方【前提編】(1)説明スペースを確保する

 当補助金申請時に作成する「【様式1】経営計画および補助事業計画」のフォーマットは以下となります。

 これは小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>のホームページからダウンロードできますが、ワードデータですので欄が狭い場合は広げることが可能です。ただし、当フォーマットの【作成に当たっての注意事項】1行目にあるように5枚以内に収める必要があります。

 採択を引き寄せるには、自社の計画を読み手に理解していただく必要がありますが、この5枚という制約条件の中で、いかに多くの情報を届けるかを検討することがポイントとなります。

 そこで、当フォーマットの【作成に当たっての注意事項】5行目にあるように「本注意事項」と「<経営計画>及び<補助事業計画>内の黄色塗りつぶしの文書」を削除することで約600文字分のスペースが生まれます。

 同社はこれを行っていないだけでなく、計画書に費やした枚数は3ページ半というボリュームでした。よって、読み手に届けることのできた情報量が多くなく、このことが不採択という結果を招いてしまった要因のひとつと考えられます。

持続化補助金に不採択だった事例から学ぶ効果的な計画書の書き方【前提編】(2)ビジュアルに訴求する

 同社が作成した計画書のほとんどは、文字で埋め尽くされていましたが、読み手がその内容について理解を深めるためには、ビジュアルに訴求することも効果的と言えます。計画書の読み手は、自社に興味も関心もゆかりもない人である可能性が高く、そのような読み手のビジュアルにも働きかけて、計画書の内容に引き込むことがポイントとなります。

 特に経営者の写真を盛り込むことは「顔の見える計画書」となり、リアリティの向上が期待できます。なお、前述の通り計画書の上限枚数は5枚という制約がありますので、写真や図表を盛り込みすぎてこの制約をオーバーすることの無いようにする必要があります。

持続化補助金に不採択だった事例から学ぶ効果的な計画書の書き方【前提編】(3)コピペは避ける

 同社が記載した内容を拝見すると、他者のホームページやブログからコピペしたであろう文章が散見されました。特に外部環境はネット検索で状況を把握するケースが多いはずですが、その内容をご自身なりの言葉に変えて記載することで、「借り物」ではなく「自社の」事業計画になるはずです。

 読み手は、多数の計画書を読み込んできているはずですから、その文章がオリジナルのものなのかコピペなのかはすぐに判断がつくものです。なお、グラフや図表など、どうしてもコピペせざるを得ない場合は引用元を示すことをお勧めします。

 今回のコラムでは、小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型>に不採択だった計画書から、採択を引き寄せるポイントとして(1)説明スペースを確保する、(2)ビジュアルに訴求する、(3)コピペは避ける、を挙げました。次回のコラムでは「1.自社の事業概要」の書き方を見ていきます。

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