持続化補助金に不採択だった事例から学ぶ効果的な計画書の書き方②

小規模事業者持続化補助金

 同社は、地域の企業が使う広告宣伝ツールの制作を手掛けていますが、新型コロナウイルス感染症の拡大により、広告宣伝の需要が激減し、同社の業績も落ち込んでしまいました。

 そこで、同社の販路を地元から全国へ広げるために、インターネットをこれまで以上に活用することとし、それにかかる費用の一部を小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型>で調達しようと申請をしましたが、不採択という結果になってしまいました。

 下図は当補助金を申請する際に作成する「【様式1】経営計画および補助事業計画」ですが、前回のコラム持続化補助金に不採択だった事例から学ぶ効果的な計画書の書き方①に引き続き、同社が作成した計画書をもとに採択を引き寄せる書き方を検討していきます。

 今回は2022年2月11日時点の情報に基づき、赤枠部分<経営計画>「1.自社の事業概要」の書き方を見ていきます。

1.持続化補助金に不採択だった事例から学ぶ効果的な計画書の書き方【自社の事業概要編】

持続化補助金に不採択だった事例から学ぶ効果的な計画書の書き方【自社の事業概要編】(1)求められている内容をヌケモレなく記載する

 小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>のホームページから「【様式1】経営計画および補助事業計画」のフォーマットがダウンロードできますが、今回見ていく<経営計画>「1.自社の事業概要」欄には以下の但し書きがあります。

※自社の概要や経営状況、課題、特徴、自らが製造・販売・提供している商品・サービスの内容や市場動向等について記載してください。また、自社の経営方針・目標等についても記載してください。

 同社は【概要】【課題】【特徴】【商品・サービスの内容】【市場動向】【経営方針】【目標】という見出しを設け、それに則ってそれぞれの内容を記載していました。これらの見出しは上記の但し書きを意識したものだと思いますが、【経営状況】という見出しがありませんでした。

 但し書きに沿って記載することは、求められている内容を記載することに繋がりますので、非常に重要だと考えますが、その内容にヌケモレがあると但し書きに沿った内容とは言えなくなりますので留意したいポイントです。

持続化補助金に不採択だった事例から学ぶ効果的な計画書の書き方【自社の事業概要編】(2)ストーリーを構築する

 繰り返しになりますが、前述の但し書きを踏まえると当欄では【概要】【経営状況】【課題】【特徴】【商品・サービスの内容】【市場動向】【経営方針】【目標】が求められています。そして、これらの項目内容を単純に答えていけば良いものではなく、ストーリーを構築することが重要と考えています。

 例えば、【概要】【経営状況】を踏まえて洗い出した【課題】を解決するために、【特徴】【商品・サービスの内容】で把握した強みを【市場動向】で把握した機会に投入して、【目標】を達成するために定めた【経営方針】の下で事業展開をするために補助金を使う必要がある、といった内容です。

 このように、整合性のある計画書は説得力が高いので採択される可能性も高いと言えますが、同社の場合は各項目に単に答えるような形になっており、このことも不採択を引き寄せてしまった要因のひとつと考えられます。

持続化補助金に不採択だった事例から学ぶ効果的な計画書の書き方【自社の事業概要編】(3)空白欄を活用する

 同社は箇条書きを多く活用した結果、計画書の右側に空白が多く見受けられました。箇条書きは読みやすさを高めますので、活用は否定されるものではないと考えますが、空白を発生させることは、計画書の上限枚数である5枚に豊富な情報を盛り込むという点において非効率であるとも言えます。

 そこで、右側の空白欄に【概要】として代表者の写真や、【商品・サービスの内容】として自社が制作した広告宣伝ツールの写真などを盛り込むと、空白欄をビジュアルに訴求するための有効なスペースとして活用できることになります。

 同社は制限枚数内に収めていたものの、空白が多く、訴求する情報が豊富でなかったことも不採択を引き寄せてしまった要因のひとつと考えられます。

持続化補助金に不採択だった事例から学ぶ効果的な計画書の書き方【自社の事業概要編】(4)数値を用いて説明する

 同社は自社の【特徴】として、広告宣伝ツールを低価格で提供できることを述べていましたが、相場や他社と比べてどの程度低価格であるのかが読み取れませんでした。安いというからにはその比較対象を示し、どの程度安いのかを示すことで説得力が向上するでしょう。

 また、数値で示された【目標】がないため、達成度の測定が困難な印象を与えていました。数値で示すことのできない目標とともに、測定可能な数値目標の記載もすることにより、目標の有用性が高まると感じました。

 今回のコラムでは、小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型>に不採択だった計画書の<経営計画>「1.自社の事業概要」から、採択を引き寄せるポイントとして(1)求められている内容をヌケモレなく記載する、(2)ストーリーを構築する、(3)空白欄を活用する、(4)数値を用いて説明する、を挙げました。

 次回のコラムでは「2.新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策」を見ていきますが、同社の事例を採り上げた前回のコラムは以下となります。

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