同店は、写真撮影やその関連業務を主たる事業としていますが、新型コロナウイルス感染症の影響により客足が遠のき、業績が低下してしまいました。そこで店舗改装を行うこととしましたが、その費用の一部を小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>で調達するために計画書を作成し、申請したものの不採択という結果になりました。
当コラムでは、同店が作成した計画書の内容から、なぜ不採択という結果になったのか、想定される理由を検証し、採択される計画書の書き方を考えていきます。今回は低感染リスク型ビジネス枠で【不採択】だった写真スタジオの事例①で取り上げた<経営計画>「1.自社の事業概要」に引き続き、「2.新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策」に記載された内容を取り上げます。
1.不採択の想定理由「新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策」編
(1)影響を定量的に述べていない
同店は「新型コロナウイルス感染症の影響」として、いくつかのイベントが中止になり、撮影の仕事がキャンセルになったことを述べていました。ですが、いくつのイベントが予定されていて、いくつのイベントが中止になったのかという定量的な内容は述べていませんでした。
例えば「10回のイベントが予定されていたが、2回のイベントが中止になった」という影響と「10回のイベントが予定されていたが、その全てが中止になった」では影響の大きさが違います。読み手に影響の大きさを伝えるには数字を用いて定量的に述べることが効果的と考えられますが、同店はそれを行っていなかったことが、不採択の想定理由のひとつとして挙げられます。
(2)本質的な影響を述べていない
前述の通り、同店はイベントが中止になったことによって、仕事がキャンセルになったという影響を被ったわけですが、極端な話、そのような影響があっても売上や利益が落ちていなければ問題はないわけです。
新型コロナウイルス感染症の本質的な影響は売上や利益の減少ですから、コロナ前はどの程度の売上や利益があって、コロナ禍ではそれがどうなったのかを数値で示すことが重要なポイントではないでしょうか。同店はそれを行っていなかったことが、不採択の想定理由のひとつとして挙げられます。
(3)業績回復の対策を述べていない
同店は「既に取り組んでいる対策」として、マスク着用、検温、消毒、スタジオ内の換気を挙げていましたが、これは新型コロナウイルスの感染リスクを低下させる対策です。しかし、同店は前述の通り「新型コロナウイルス感染症の影響」として、イベントの中止による仕事量の減少を述べているわけですから、その対策も記載する必要があると言えます。
仕事量が減少したにもかかわらず、何も対策を行っていないという事業者よりも、例えば既存顧客のフォローをするためのメールを配信している、ブログの更新回数を増加させているなど、何らかの対策を行っている事業者の方が前向きな印象を与えることができます。同店はそのような内容を記載していなかったことも、不採択の想定理由として挙げられます。
今回のコラムでは、小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>で不採択だった写真スタジオの<経営計画>「2.新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策」に記載された内容から不採択の想定理由として、(1)影響を定量的に述べていない、(2)本質的な影響を述べていない、(3)業績回復の対策を述べていない、を挙げました。
次回は<補助事業計画>「1.補助事業名」を取り上げて不採択の想定理由を検討していきます。
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