低感染リスク型ビジネス枠で【不採択】だった写真スタジオの事例④

小規模事業者持続化補助金

 同店は、写真撮影やその関連業務を主たる事業としていますが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により客足が遠のき、業績が低下してしまいました。そこで小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>を活用して店舗を改装しようと考え、計画書を作成し、応募したものの不採択という結果になりました。

 当コラムでは、同店が作成した計画書の内容から、なぜ不採択という結果になったのか、想定される理由を検証し、採択される計画書の書き方を考えていきます。今回は低感染リスク型ビジネス枠で【不採択】だった写真スタジオの事例③で取り上げた<補助事業計画>「1.補助事業名」に引き続き「2.補助事業の内容」を取り上げます。なお、当コラムの内容は2021年10月13日時点の情報に基づいています。

1.不採択の想定理由「補助事業の内容」編

 同店が当欄に記載した内容には、店舗改装前の写真と改装後(イメージ)のイラストや補助事業展開のスケジュールが盛り込まれており、この点は非常に良い印象を受けました。このような良い点もある同店の計画書ですが、「補助事業の内容」から不採択になった想定理由として挙げられるのは以下の3点です。

低感染リスク型ビジネス枠で【不採択】だった想定理由(1)不要な内容を記載したから

 同店は店舗改装を行うことにより、屋外で撮影が可能になるようにしたいとのことであり、屋外撮影のメリットとデメリットを述べていました。ですが、当欄は「補助事業の内容」を記載する欄であり、補助事業(この場合は店舗改装)を具体的に説明することが求められています。よって、屋外撮影のメリットやデメリットという一般論は求められていないことが想定されます。

 求められていないことを記載するということは、スペースを無駄に消費するとともに、内容の冗長性が高まってしまい、結果として読み手の理解が妨げられてしまうリスクが発生します。このことが不採択という結果を招いた想定理由のひとつとして挙げられます。

低感染リスク型ビジネス枠で【不採択】だった想定理由(2)感染リスク低減の説明がなかったから

 同店は、屋外撮影のデメリットとして密閉・密集・密接のいわゆる3密になりやすいといった内容を示していました。一般に屋外の活動は屋内のそれと比べて3密になりにくいはずですが、なぜこのようなデメリットが発生するのかといった記載がありませんでした。

 そして、同店は屋外撮影ができるような店舗改装をするわけですが、前述のように屋外撮影が3密を招きやすいのであれば、その改装が3密を回避できるといった説明が必要でしょう。その記載がないため、当該改装が感染リスク低減に繋がるものではないと解釈されてしまい、このことも不採択理由のひとつとして挙げることができるのではないでしょうか。

低感染リスク型ビジネス枠で【不採択】だった想定理由(3)内容が具体的になっていなかったから

 同店は店舗改装後の告知も補助事業に含めていました。ですが、その内容の説明は「パンフレットを作成する」「企画を考える」「SNSを活用する」といった記載に留まっており、具体性に欠けていました。

 当欄は補助事業の内容を説明する欄ですので、補助金を使って実施する内容に絞って記載する必要がありますが、そもそも「企画を考える」「SNSを活用する」ことに補助金を使うわけではないので、記載は不要と考えられます。

 そして、補助金で作成するパンフレットについて、その取組内容が具体的になっていないと、どのように補助金を使うのかが読み手は理解できません。この点も不採択を招いた要因のひとつとして挙げられるのではないでしょうか。

 今回のコラムでは、小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>で不採択だった写真スタジオの<補助事業計画>「2.補助事業の内容」から、不採択の想定理由として(1)不要な内容を記載していたから、(2)感染リスク低減の説明がなかったから、(3)内容が具体的になっていなかったから、を挙げました。

 次回は同店の<補助事業計画>「3.補助事業の効果」を取り上げて不採択の想定理由を検討していきます。

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