低感染リスク型ビジネス枠で【不採択】だった整体院の事例④

小規模事業者持続化補助金

 同院は女性患者専門の整体院ですが、インターネットを活用した告知活動を行うための資金を調達するべく、小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>を活用することにしました。そこで、計画書を作成して当補助金に応募したわけですが、残念ながら不採択となってしまいました。

 その計画書をもとに、なぜ不採択になってしまったのか、想定される理由を検証していきますが、今回のコラムでは低感染リスク型ビジネス枠で【不採択】だった整体院の事例③に引き続き<補助事業計画>「2.補助事業の内容」について見ていきます。

1.不採択の想定理由「補助事業の内容」編

(1)事業の新規性がない

 補助金は応募する際のルールブックとして公募要領が公開されていますが、小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>の公募要領には「審査の観点」として以下が記載されています。

 今回見ている<補助事業計画>「2.補助事業の内容」における記載内容を検討する上で見逃せないのは、上図2つの赤枠部分ですが、まず「ウ)新型コロナウイルス感染症が事業環境に与える影響を乗り越えるため新たなビジネスやサービス・生産プロセス導入を行っていること」を見ていきます。

 これは文字通り、事業の新規性が求められているわけですが、何をもって新規性があると判断するかというと、弊社では「自社にとって初めて」「競合にとって初めて」の事業であると解釈しています。

 同院の補助事業は、ホームページの作成、web広告の実施、新メニューの開発ですが、少なくともホームページの作成は、既に自社ホームページがあることから新規性はないと判断できます。また、競合動向に関する記載が一切ない中、web広告の実施や新メニューの開発について新規性の有無は判断できず、このことが不採択理由のひとつとして考えられます。

(2)対人接触機会の減少が見込めない

 次に上図赤枠部分、「エ)新型コロナウイルス感染症に対して新たなビジネスやサービス・生産プロセス導入が対人接触機会の減少に資する取組となっていること」について見ていきます。

 繰り返しになりますが、同院の補助事業は、ホームページの作成、web広告の実施、新メニューの開発です。このうち、ホームページの作成、web広告の実施は対面での告知はしないので、告知について対人接触機会は減少するのかもしれません。

 ですが、その告知を受けた顧客が同院に訪れて施術を受けることは、接触機会の減少にはなりません。この告知が効果を発揮し、多くの顧客が来院すれば、接触機会は増加することも考えられます。さらに開発しようとしている新メニューは、対面での施術であることからやはり接触機会の減少は期待できません。このことも不採択理由のひとつとして考えられます。

(3)具体的に記載していない

 今回見ている「2.補助事業の内容」欄には、但し書きとして感染拡大防止のための対人接触機会の減少に資する新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入等の取組について、取組内容や実施体制、スケジュールを具体的に記載してください。という記載があります。

 「具体的」に記載するには、いつ(When)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どこで(Where)、どのように(How)行うのか、という5W1Hを明確にする必要があると弊社では考えています。

 これに対して同院が記載してきた内容は、ホームページの作成であれば「料金の詳細や予約状況の確認ができるようにする」といった一文に留まっており、具体的な記載とは言えない内容でした。この点も不採択という結果を招いた一因と言えるでしょう。

 今回のコラムでは不採択の想定理由として(1)事業の新規性がない、(2) 対人接触機会の減少が見込めない、(3)具体的に記載していない、を挙げました。次回のコラムでは、これに続く<補助事業計画>「3.補助事業の効果」に記載した内容から想定される不採択理由を見ていきます。

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