低感染リスク型ビジネス枠で【不採択】だった車両販売店の事例⑤

小規模事業者持続化補助金

 同社は、車両の販売を主たる事業としていますが、新規顧客を増やそうと考え、ホームページを開設することとし、その資金を調達するべく、小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>を活用することにしました。そこで、計画書を作成して当補助金に応募したわけですが、残念ながら不採択となってしまいました。

 その計画書をもとに、なぜ不採択になってしまったのか、想定される理由を検証していきますが、今回のコラムでは<補助事業計画>「3.補助事業の効果」の記載内容からその理由を見ていきます。

1.不採択の想定理由「補助事業の効果」編

(1)「効果」ではなく「方針」を書いている

 今回の「低感染リスク型ビジネス枠で【不採択】だった車両販売店の事例」シリーズでは、何度も計画書フォーマットの「但し書き」をご紹介していますが、今回見ていく<補助事業計画>「3.補助事業の効果」欄には以下の但し書きがあります。

 補助事業の実施により、自社の経営に与える効果について記載してください。

 この但し書きがあるにもかかわらず、同社が当欄に記載した内容には、自社の目指す方向性、つまり今後の経営方針が含まれていました。なお、<経営計画>「1.自社の事業概要」欄には以下の但し書きがあります。

 自社の概要や経営状況、課題、特徴、自らが製造・販売・提供している商品・サービスの内容や市場動向等について記載してください。また、自社の経営方針・目標等についても記載してください。

 よって、同社が<補助事業計画>「3.補助事業の効果」欄に記載した経営方針は<経営計画>「1.自社の事業概要」に記載するべき内容になります。

(2)「効果」ではなく「目標」を書いている

 同社は<補助事業計画>「3.補助事業の効果」欄に、売上と利益目標を記載していました。ですが、これも<経営計画>「1.自社の事業概要」に書くべき内容です。繰り返しになりますが、当欄には以下の但し書きがあるからです。

 自社の概要や経営状況、課題、特徴、自らが製造・販売・提供している商品・サービスの内容や市場動向等について記載してください。また、自社の経営方針・目標等についても記載してください。

 当欄に書くべき内容は「効果」ですので、それ以外のことを記載しているということは、問いに答えていないことになり、仮に「効果」も記載していたとしても、それ以外の内容が記載されていることによって、記載した「効果」の訴求力が薄まってしまうリスクが高まります。

(3)「効果」ではなく「スケジュール」を書いている

 同社は<補助事業計画>「3.補助事業の効果」欄に、補助事業をどのように進めていくのかというスケジュールを記載していました。ですが、これは<補助事業計画>「2.補助事業の内容」に書くべき内容です。なぜなら当欄には以下の但し書きがあるからです。

 感染拡大防止のための対人接触機会の減少に資する新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入等の取組について、取組内容や実施体制、スケジュールを具体的に記載してください。

 結局、同社が<補助事業計画>「3.補助事業の効果」に記載した内容に「補助事業の効果」と解釈できる内容はありませんでした。

 このように書くべきことを書くべき場所に書いていないことは、読み手の知りたいことを伝えていないわけですから、採択の可能性が低くなってしまうリスクが高まるでしょう。同社の場合はその傾向が非常に強かったことが、望む結果を得ることができなかったと言えるでしょう。

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