同社は印刷を主な事業としていますが、新型コロナウイルス感染症の拡大により、取引先の集客が落ち込んだことにより、同社が手掛ける印刷の需要が減少し、業績が低下してしまいました。
そこで、同社は業績の復活に要する費用の一部を小規模事業者持続化補助金＜低感染リスク型ビジネス枠＞で調達しようと考え、計画書を作成し、申請したところ、無事採択されました。そこで同社が作成した計画書から、なぜ採択されたのかを検証し、どのように計画書を書けば採択の可能性が高まるのか検討していきます。
下図は当補助金申請時に提出する「【様式1】経営計画および補助事業計画」の構成ですが、今回のコラムでは、下図の赤枠部分＜経営計画＞「１．自社の事業概要」の書き方を見ていきます。なお、当コラムの内容は2022年2月2日時点の情報に基づいています。
1． 持続化補助金に採択された印刷業者の計画書の書き方
持続化補助金に採択された印刷業者の計画書の書き方【自社の事業概要】（１）見出しを設ける
前述した「【様式1】経営計画および補助事業計画」のフォーマットは、小規模事業者持続化補助金＜低感染リスク型ビジネス枠＞のホームページからダウンロードできますが、今回見ていく＜経営計画＞「１．自社の事業概要」欄には、以下の但し書きがあります。
※自社の概要や経営状況、課題、特徴、自らが製造・販売・提供している商品・サービスの内容や市場動向等について記載してください。また、自社の経営方針・目標等についても記載してください。
同社はこの但し書きに則って当欄に見出しを設け、それに沿った内容を記載しておりました。但し書きがある理由のひとつに「読み手がその内容を知りたいから」を挙げることができますが、それに逸れないよう見出しを設けて内容を記載したことは、同社が採択を引き寄せた要因のひとつと考えられます。
持続化補助金に採択された印刷業者の計画書の書き方【自社の事業概要】（２）具体的な内容を記載する
同社は、自社の説明を記載する文章の中に、主要取引先の名称や売上高・利益などの数字を盛り込んでいました。これらは、内容の具体性を高め、読み手が感じるリアリティを高める効果が見込めます。このように、具体的な名称や数値を用いて説明をしたことも同社が採択を引き寄せた要因のひとつと考えられます。
持続化補助金に採択された印刷業者の計画書の書き方【自社の事業概要】（３）ビジュアルに訴求する
文字だけの計画書は読み手にしてみると、内容が頭に入りにくいものです。内容が理解できなければ、審査で高い評価を得ることは困難ですから、文字以外の表現を活用することも採択のポイントと言えるでしょう。
同社は「顧客ニーズと市場の動向」という見出しの下に、同社がターゲットとしている業界における事業者数の推移といった内容のグラフを盛り込んでビジュアルに訴求していました。
また「当社の基本情報」という見出しの下に、自社が手掛けた印刷物の写真や、自社の業績推移を示した一覧表も盛り込んで読みやすさを意識していたことも、採択を引き寄せた要因のひとつと考えられます。
なお、弊社では「顔の見える」計画書は、リアリティをより高める効果があると考えているため、経営者の顔写真を盛り込むことをお勧めしています。
持続化補助金に採択された印刷業者の計画書の書き方【自社の事業概要】（４）強みの記述を厚くする
下記は申請時のルールブックである公募要領に記載のある「審査の観点」ですが、これらの項目に則って審査をし、高い評価を得ることができると採択に近づくことが可能になります。
今回は上図の下線部分を採り上げますが、この記述が意味することは、当補助金を使った取組みは強みを活用することが求められていることと考えられます。よって、自社の強みを把握するとともに、当補助金を使った取組みで使える強みを数多く挙げることがポイントとなります。
同社は今回見ている「自社の事業概要」欄に3ページを費やしていましたが、そのうち1ページは自社の強みを記載していました。このように強みを数多く挙げ、丁寧に説明したことも同社が採択を引き寄せた要因のひとつと考えられます。
今回のコラムでは、同社が記載した「１．自社の事業概要」から、採択の可能性を高める計画書の書き方として（１）見出しを設ける、（２）具体的な内容を記載する、（３）ビジュアルに訴求する、（４）強みの記述を厚くする、を挙げました。次回のコラムでは「２．新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策」を見ていきます。
２．小規模事業者持続化補助金の計画書作成をサポートします。
1,000件を超える支援実績を通じて蓄積してきたノウハウを活用して、計画書作成のサポートを行い、採択の可能性を高めます。詳しくはこちらから↓↓↓
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