持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】に採択された飲食店の事例①

小規模事業者持続化補助金

 同店は関東圏内に立地する飲食店です。新型コロナウイルス感染症の影響によりイートインの需要が激減してしまいましたが、テイクアウトやデリバリーは同店が提供する料理の品質が担保できないため、オンラインの料理教室を立ち上げました。

 そして、この料理教室の集客力向上を目的に、小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>を活用することとし、申請をした結果、採択されました。これを受け、今回のコラムから同社が作成した計画書の内容を基に、採択を引き寄せる書き方を見ていきます。

 下図は当補助金を申請する際に作成する「【様式1】経営計画および補助事業計画」ですが、今回のコラムでは赤枠部分<経営計画>「1.自社の事業概要」の書き方について見ていきます。なお、当コラムの内容は2022年2月19日時点の情報に基づいています。

1.持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】に採択された飲食店の事例 [自社の事業概要編]

持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】に採択された飲食店の事例 [自社の事業概要編](1)SWOT分析を活用する

 同店は当欄に環境分析の手法のひとつであるSWOT分析の結果を記載しておりました。当分析で扱う経営環境は、内部環境と外部環境に切り分けることができ、それぞれ好ましい傾向と好ましくない傾向があります。

 内部環境としては、経営者やスタッフのスキルや経歴といった人的資源、店舗や設備といった物的資源、運転資金や設備投資資金といった財務的資源、受発信している情報の質や量といった情報的資源などが挙げられ、これらのうち好ましい傾向が「強み」、好ましくない傾向が「弱み」です。

 外部環境としては、競合動向や顧客動向などが挙げられ、このうち好ましい傾向が「機会」、好ましくない傾向が「脅威」です。「強み」はStrength、「弱み」はWeakness、「機会」はOpportunity、「脅威」はThreatなので、それぞれの頭文字をとってSWOT分析と呼ばれます。

 同社はSWOT分析の結果として概ね以下の内容を記載していました。

 【強み】

  • 大手チェーン店が真似できない調理方法を採り入れることができる。
  • 独自のルートで国産食材を仕入れることができる。
  • 〇人以上のSNSフォロワー数が存在する。

 【弱み】

  • 人材と資金が不足している。
  • 事業のデジタル化があまり進んでいない。

 【機会

  • 自宅で料理をする人が増加傾向である。
  • 健康意識が向上している。

 【脅威】

  • 新型コロナウイルスに感染した当店従業員の発生による店舗イメージの棄損。

 SWOTを活用するメリットは、内部と外部、好ましい傾向と好ましくない傾向というヌケモレのない切り口から現状を分析できることであり、同社はこのような切り口を用いて現状分析の結果を示したことで、説得力の向上を図っていたことが採択の可能性を高めたと考えられます。

持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】に採択された飲食店の事例 [自社の事業概要編](2)因果関係を意識する

 同社が記載した前述の「強み」「弱み」ですが、これらは本当の意味で「強み」「弱み」になっていないと感じました。例えば、同社の「強み」として大手チェーン店が真似できない調理方法を採り入れることができるという内容が記載されていましたが、これはあくまでも結果です。

 その結果をもたらすことのできる要因が自社の経営資源であった場合に、それが強みとなり得ます。例えば、シェフの料理に対する考え方が柔軟であるから大手チェーン店が真似できない調理方法を採り入れることができるのだとしたら、そのシェフの柔軟性が強みとなります。多くの場合、結果を強みとして書きがちですが、それをもたらした要因に着目して「強み」「弱み」を洗い出していくと、より採択の可能性が高まったと考えられます。

持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】に採択された飲食店の事例 [自社の事業概要編](3)ドメインを盛り込む

 ドメインは事業の骨格を表し、「誰に」提供するのか「何を」提供するのか「どのように」提供するのか、を明らかにして事業の有効性を高めるものです。

 「誰に」提供するのかを明らかにすることにより、自店がターゲットとする顧客層を明確にすることが可能となり、「何を」提供するのかを明らかにすることにより、ターゲット顧客を満足させる価値を明確にすることが可能となり、「どのように」提供するのかを明らかにすることにより、自店の差別的優位性を明確にすることが可能となります。

 同社は、既存事業である飲食店のイートインに関するドメインと、新規事業であるオンライン料理教室に関するドメインを記載していたことにより、事業の有効性を訴求していたことも採択を引き寄せた要因のひとつと考えられます。

持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】に採択された飲食店の事例 [自社の事業概要編](4)表を活用する

 これまで見てきたSWOT分析とドメインを同社は表形式にして述べていました。SWOT分析であれば、縦軸に「内部環境」「外部環境」、横軸に「好ましくない傾向」「好ましくない傾向」を置いて「強み」「弱み」「機会」「脅威」という4つの象限を作成し、記入していました。

 また、ドメインであれば、縦軸に「既存事業」「新規事業」、横軸に「誰に」「何を」「どのように」と6つの象限を作成し、記入していました。上記の文章を表で表すと以下となります。

 このように文章だけでなく表形式で述べることで、読みやすくなり、読み手の理解が深まったと考えられることも、同社が採択を引き寄せた要因のひとつと考えられます。

 今回のコラムでは、小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型>に採択された計画書の<経営計画>「1.自社の事業概要」から、採択を引き寄せる書き方として(1)SWOT分析を活用する、(2)因果関係を意識する、(3)ドメインを盛り込む、(4)表を活用する、を挙げました。次回は同社の事例を用いて「2.新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策」を見ていきます。

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