持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】に採択された飲食店の事例③

小規模事業者持続化補助金

 同社の主力事業は飲食店の運営ですが、新型コロナウイルス感染症の影響によりイートインの需要が激減してしまいました。そこでテイクアウトやデリバリーを検討しましたが、同店が提供する料理の品質が担保できないため、オンラインの料理教室を立ち上げました。

 そして、この料理教室の集客力向上を目的に、小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>を活用することとし、申請をした結果、採択されました。そこで、同社が作成した計画書の内容を基に、採択を引き寄せる書き方を見ていきます。

 下図は当補助金を申請する際に作成する「【様式1】経営計画および補助事業計画」の構成ですが、今回のコラムでは赤枠部分<補助事業計画>「2.補助事業の内容」の書き方について見ていきます。なお、当コラムの内容は2022年2月21日時点の情報に基づいています。

1.持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】に採択された飲食店の事例 [補助事業の内容編]

持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】に採択された飲食店の事例 [補助事業の内容編](1)補助金を使う事業を説明する

 弊社では、「補助事業」とは補助金を使った事業を指すと解釈していますので、補助事業の内容に関する説明が求められている当欄には、何に補助金を使うのかを明確に記載し、それらを細かく説明する必要があると考えています。

 ですが、同店が記載した内容はオンラインの料理教室についての詳しい説明であり、補助金の使い道が読み取れませんでした。同店は補助金を用いてこのオンラインで提供する料理教室の広告宣伝を強化しようとしていますので、それら広告宣伝の内容を詳しく述べることで、より採択の可能性が高まった印象があります。

持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】に採択された飲食店の事例 [補助事業の内容編](2)ビジネスプロセスを記載する

 弊社では補助事業の内容を説明する場合に「いつ(When)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どこで(Where)、どのように(How)」の5W1Hを明確に記載することをお勧めしていますが、同店は、顧客が当補助事業で実施する料理教室に申し込んでから受講が終了するまでの一連の流れを箇条書きで記載しておりました。

 このことは同店が「どのように(How)」補助事業を展開するのかといった内容を記載したということであり、このように顧客目線からビジネスプロセスを説明したことは、内容が具体的であり、読み手の理解が深まったと考えられます。

 ただし、前述のように補助事業は補助金を使って行う事業ですから、同店の場合「オンライン料理教室の広告宣伝」が補助事業ということになります。よって、この「広告宣伝」に関する5W1Hも示したうえでビジネスプロセスを盛り込むとより採択の可能性が高まったのではないでしょうか。

持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】に採択された飲食店の事例 [補助事業の内容編](3)設けられている見出しを活用する

 当計画書のフォーマットを拝見すると、当欄には■補助事業内容(取組内容)■必要な理由■事業実施スケジュール、という見出しが設けられています。他の欄にはこのような見出しがないにもかかわらず、当欄にはこのような見出しが設けられている理由として考えられるのは、これら見出しの内容に関する記載が求められているということです。

 ですが、同店はこれら見出しを削除してしまい、他の見出しを設けていました。なぜ当欄にはわざわざ見出しが設けられているのかを検討し、その見出しを活用した記載をすることで、採択の可能性はより高まったと思われます。

 今回のコラムでは、小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型>に採択された計画書の<補助事業計画>「2.補助事業の内容」から、採択を引き寄せる書き方として(1)補助事業の内容を端的に記載する、(2)ビジネスプロセスを記載する、(3)設けられている見出しを活用する、(4)補助金を使う事業を説明する、を挙げました。

 次回は同社の事例を用いて<補助事業計画>「3.補助事業の効果」を見ていきますが、同社の事例を採り上げた前回までのコラムは以下となります。

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