持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】に採択された飲食店の事例④

小規模事業者持続化補助金

 同社の主たる事業は飲食店の運営ですが、新型コロナウイルス感染症の影響によりイートインの需要が激減し、業績が悪化してしまいました。そこで、テイクアウトやデリバリーを検討しましたが、同店が提供する料理の品質が担保できないため、オンラインの料理教室を立ち上げました。

 そして、この料理教室の集客力向上を目的に、小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>を活用することとし、申請をした結果、採択されました。そこで、同社が作成した計画書の内容から、採択を引き寄せる書き方を見ていきます。

 下図は当補助金を申請する際に作成する「【様式1】経営計画および補助事業計画」の構成ですが、今回のコラムでは赤枠部分<補助事業計画>「3.補助事業の効果」の書き方について見ていきます。なお、当コラムの内容は2022年2月22日時点の情報に基づいています。

1.持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】に採択された飲食店の事例 [補助事業の効果編]

持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】に採択された飲食店の事例 [補助事業の効果編](1)効果を数値で示す

 同店は、今回の補助事業を実施することによって、売上高がどの程度増加するのか、具体的な数値を用いて記載をしておりました。単に「売上高が増加する」と記載するよりも「売上高が〇〇円増加する」と記載した方が、効果の規模を訴求することができ、このことは同店が採択を引き寄せた要因のひとつと考えられます。

持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】に採択された飲食店の事例 [補助事業の効果編](2)数値の根拠を示す

 前述の通り、同店は売上高がどの程度増加するのかを記載したわけですが、なぜそのような数値を見込むことができるのか、根拠を数値で述べていました。試験的に実施したオンライン料理教室で集めた会員数や、その方々が支払っていただけそうな金額を示して、売上の増加額の信憑性を高めていたことも、同社が採択を引き寄せた要因のひとつと考えられます。

 新規事業を試験的に実施することは、このように根拠を掴むことができ、事業として成り立つのか否か、意思決定に有効な材料を提供してくれますので、新規事業を展開する際にはぜひ実施したいものです。

持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】に採択された飲食店の事例 [補助事業の効果編](3)効果として利益を記載する

 補助金の財源は税金であり、一度集めた税金を補助金という名に変えて再配分しますが、これにより納税額をさらに大きくしたいため、より大きな収益が見込める事業者が採択されると考えられます。よって、売上高だけが大きくなって利益が変わらない、もしくは減少することは採択にポジティブな影響は及ぼさないはずです。

 同店は、補助事業の効果として前述の売上高だけでなく、どの程度の利益が見込めるのかという点を記載していたことも採択を引き寄せた要因のひとつと考えられます。

 今回のコラムでは、小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型>に採択された計画書の<補助事業計画>「3.補助事業の効果」から、採択を引き寄せる書き方として(1)効果を数値で示す、(2)数値の根拠を示す、(3)効果として利益を記載する、を挙げました。

 ここまで4回にわたって同社の事例から採択を引き寄せる計画書の書き方を見てきましたが、各回のポイントは以下となります。

 なお、同社の事例を採り上げた前回までのコラムは以下となります。

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