その飲食店は、昼はうどん店として、夜は居酒屋として営業をしていましたが、新型コロナウイルスの影響により、店内で飲食する顧客同士の距離を広くとりつつ、客数を確保するための店舗改装と、新規顧客を呼び込むための広告宣伝を行うことにしました。
その費用を小規模事業者持続化補助金で調達することとしましたが、どのようにして採択レベルの計画書を作成したか、そのプロセスをご紹介していきます。今回のコラムでは、下図の提出書類一覧表の赤枠部分、「様式2-1経営計画書兼補助事業計画書①」<経営計画>の「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を見ていきます。
1.「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」記入の仕方
(1)なぜ当欄があるのか
メジャーリーグの大谷翔平選手は、投手と打者という二刀流で活躍していますが、このようなケースは多くなく、一般的に野球選手は投手専門、打者専門という形で分かれます。つまり、投げることが得意なら投手、打つことが得意なら打者になります。
ここでのポイントは、打つことが苦手なのでそれを克服して打者になろうとするのではなく、投げることが得意なので投手としてそのスキルを強化しようとするということです。
このように、得意なことに特化し、それをさらに強化していく「強みの強化」という考え方は、小規模事業者における戦略にも当てはまります。「弱みの克服」をしたがるケースが多い印象がありますが、得意なことをもっと伸ばすことで差別的優位性がさらに強化され、自社の業績拡大にポジティブな影響を及ぼすことが期待できます。
そこで、自社が伸ばすべき強みを見出し、明確にしていくために「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」という欄がある、ということになります。
さらには、下図の公募要領「審査の観点」にも強みに関する記載(赤枠部分)があり、強みを踏まえることが、採択や今後の事業展開に大きな影響を及ぼすことが見て取れます。
(2)「自社の強み」と「自社の提供する商品・サービスの強み」に分ける
当欄のタイトルを素直に切り分けると「自社の強み」と「自社の提供する商品・サービスの強み」になります。この切り分けをしないで、五月雨式に記載をしてしまうと、ヌケモレやダブりが発生する可能性が高まります。
ヌケモレの発生は、自社の強みを見落としているということですし、ダブりの発生は、同じことが繰り返され、回りくどい表現になっていると言えるでしょう。これらを防ぐために、当欄は2つに分けて記載をしました。
同店の例では「自社の強み」は、経営者が持つ経歴やノウハウに関する強みの他に、同店の情報に関する強みを、「自社の提供する商品・サービスの強み」は、同店が提供するうどんの特長と送迎サービスに関して記載をしました。
(3)「自社の強み」を4つに分ける
強みを弊社では「顧客に価値を提供でき、競合より優れている経営資源」と定義しています。経営資源は人・物・金・情報ですので、「自社の強み」は「人的資源の強み」「物的資源の強み」「財務的資源の強み」「情報的資源の強み」に切り分けることができます。
ここで「物的資源の強み」に商品の強みを書いてしまうと、「自社の提供する商品・サービスの強み」が書けなくなったり、中身が薄くなったりしてしまうので、商品以外の物的資源、つまり、店舗立地や設備・什器などの強みを記載します。
同店の場合、経営者が持つ経歴やノウハウは「人的資源の強み」であり、同店の情報に関する強みは「情報的資源の強み」ですが、それ以外の強みは見出すことができませんでしたので、この2つの切り口からまとめました。
このようにして「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」の内容を作成しましたが、次回は「4.経営方針・目標と今後のプラン」を見ていきます。
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