その飲食店は、昼はうどん店として、夜は居酒屋として営業をしていましたが、新型コロナウイルスの影響により、店内で飲食する顧客同士の距離を広くとりつつ、客数を確保するための店舗改装と、新規顧客を呼び込むための広告宣伝を行うことにしました。
その費用を小規模事業者持続化補助金で調達することとしましたが、どのようにして採択レベルの計画書を作成したか、そのプロセスをご紹介していきます。今回のコラムでは、下図の提出書類一覧表の赤枠部分、「様式2-1経営計画書兼補助事業計画書①」<経営計画>の「4.経営方針・目標と今後のプラン」を見ていきます。
1.「経営方針・目標と今後のプラン」記入の仕方
(1)なぜ当欄があるのか
これまで見てきた「1.企業概要」「2.顧客ニーズと市場の動向」「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」は現状の説明です。これに対して、今回見ていく「4.経営方針・目標と今後のプラン」は今後どうするかの説明です。
補助金の財源は税金です。行政の職員が分割納付の相談に応じたり、督促を行ったりして手間をかけ、集めた税金を補助金という名に変えて、事業者に再配分するということです。よって、再配分することで、収益の拡大を通じて納税額が向上しそうな事業者に対してでなければ、再配分できないということになります。
よって、現状をしっかり踏まえた上で、収益が拡大しそうな今後を描く欄が「経営方針・目標と今後のプラン」ということになります。
(2)3つに分ける
当欄のタイトルを素直に切り分けると「経営方針」「目標」「今後のプラン」になります。この切り分けをしないで、五月雨式に記載をしてしまうと、冗長性が高く、何を伝えたいのかがよく分からない文章になりがちです。
この3つの見出しを設け、その見出しに対応した内容を端的に記載することがポイントです。そしてこれまで見てきた「2.顧客ニーズと市場の動向」「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を意識して書くことが重要です。
(3)「経営方針」は経営理念を意識する
方針は方向性です。温泉で癒やされたいという目的があるのなら、東北方面の温泉に行くのか、九州方面の温泉に行くのか方向を決める、ということです。そして方向性を決めるのは、温泉で癒やされたいという目的があるからです。
なぜこの目的を達成したいのかというと、例えば「リフレッシュして元気に働くため」「家族を旅行に連れて行って楽しんでもらうため」など自身の存在意義が関わってきます。
よって、経営方針を定めるには、経営目的を定める必要があるわけですが、この際に考えたいのが「経営理念」です。これは、自社は何のために存在するのかという自社の存在意義であり、この「何のために」が経営目的に繋がっていきます。そこで、同店は「経営理念」を記載し、その上で「経営方針」を記載しました。
(4)「目標」は数値と期限を記載する
目標は達成するために設定しますので、達成度を測ることが必要です。そのためには数値で述べる必要があります。「顧客満足度の向上」「知名度の向上」「地域に影響力を及ぼす」といった目標は否定されるべきものではありませんが、目標としては機能しにくい側面があります。
また、いつまでに達成するのかといった、期限を設けることも必要です。この目標設定の仕方は、読み手としては事業者の真剣度を感じるものです。何十・何百もの計画書を見ているわけですから、他者のものと比較対象が可能であり、単に掲げただけなのか、本気で達成するつもりなのかは伝わってくるものです。
(5)「今後のプラン」は実施事項と時間軸を記載する
今後のプランは、補助事業を含めた全体の計画です。縦軸に実施事項として今後の行動を、横軸に3年程度の時間軸をとった表を作成し、いつ何を実施するのかを分かるようにしました。
この実施事項は、経営資源の充実という観点から洗い出しを行いました。具体的には、人的資源・物的資源・財務的資源・情報的資源のそれぞれを充実させるための行動に切り分けて洗い出しました。
このようにして「4.経営方針・目標と今後のプラン」の内容を作成しましたが、次回は<補助事業計画>「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」を見ていきます。
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