持続化補助金で店舗改装資金を調達した衣料品店の事例②

小規模事業者持続化補助金

 その衣料品店は、創業以来70年以上の業歴を重ね、地域密着型の事業展開をしてこられました。そして、店舗の立地場所近辺には、公共施設や公衆トイレがないことから、衣料品を買いに来られた方以外にも、トイレを借りたいというご要望が多い状況でした。

 ただし、同店のトイレは店舗建設当初からの和式トイレとなっており、不便さを感じる顧客もおりました。そこで今以上に顧客満足度を向上させるために、トイレを洋式に改修するという店舗改装をしたいと考えるようになりました。

 その費用を小規模事業者持続化補助金で調達しようとした同店に対して、弊社は当該補助金における採択可能性を高めるべく、その計画書のブラッシュアップをご支援しました。結果として無事採択されましたが、どのように計画書をブラッシュアップしたのか、複数回にわたってご紹介します。

 第2回目の今回は、様式2-1<経営計画>の「2.顧客ニーズと市場の動向」のうち「顧客ニーズ」の書き方について見て行きます。

1.小規模事業者持続化補助金<一般型>応募の全体像

 まずは、全体像を把握します。事業者が単独で小規模事業者持続化補助金に応募する際は、原則として以下の書類を作成し、締切日までに送付する必要があります。

  • 様式1-1 小規模事業者持続化補助金事業<一般型>に係る申請書
  • 様式2-1 経営計画書兼補助事業計画書①
  • 様式3-1 補助事業計画書②
  • 様式4 事業支援計画書
  • 様式5 補助金交付申請書

このうち、様式2-1と様式3-1が採択に大きな影響を及ぼします。

2.様式2-1 経営計画書兼補助事業計画書①の全体像

 今回は、様式2-1 経営計画書兼補助事業計画書①を見て行きますが、その構成は以下となっています。

  • <応募者の概要>
  • <経営計画>
  • <補助事業計画>Ⅰ.補助事業の内容

3.<経営計画>の全体像

 今回は<経営計画>の内容を見て行きますが、その構成は以下となっています。

  1. 企業概要
  2. 顧客ニーズと市場の動向
  3. 自社や自社の提供する商品・サービスの強み
  4. 経営方針・目標と今後のプラン

 今回のコラムでは、2.顧客ニーズと市場の動向のうち「顧客ニーズ」を見ていきますが、ここまでをまとめると、今回のコラムでは下図の赤枠で囲んだ部分を見て行くことになります。

4.「2.顧客ニーズと市場の動向」の「顧客ニーズ」の書き方

 同店が当欄に事前に記載してこられた内容のうち「顧客ニーズ」に関する部分をまとめると概ね以下の内容となっていました。

①50代以上の年齢層向け婦人服を揃えている。

②腹回りが目立たなくお洒落着という認識の強い、低価格のチュニックが売れ筋となっており、1シーズンの使い捨てとして購入する方が多い。

③価格帯は、チュニックが1,280円~2,480円、パンツ1,890円~2,890円、Tシャツ1,280円、ブラウス1,480円~2,480円となっている。

④月3回の入荷日には15~20人ほどの顧客が購入にご来店なされる。

⑤市内には県立高校を含む、小中学校が多数存在する。

⑥平成○年の●●市統計白書では、市内の全学生数は◎万人と記されている。

⑦当店が指定を受けている学校数は△校であり、該当する学生数は▲▲名程である。

⑧制服のほか運動着や靴・カバンが学校指定となり、年間の取り扱い品数は▽▽種類▼▼着にのぼる。

⑨近年は和式トイレの利用により、膝への負担がかかり、衣類がシワになりやすいため、洋式トイレへの要望が強まっている。

⑩試着後の髪や洋服の乱れなどを直す際に、洗面所の使用を希望される方が多くなっている。

 これらを以下の手順でブラッシュアップしていきます。

(1)言葉を定義する

 その論述において重要な言葉に関しては、定義づけをすることにより、読み手と共通認識を醸成することで、読み手による会社の差が減少します。よって、「顧客ニーズ」も予め定義づけし、その内容を記載するとともに、それに沿った内容を記載する必要があります。

 弊社では、「顧客ニーズ」を「当店を利用することによって達成したい顧客の目的」と定義していますが、この定義に則って顧客ニーズを再検討していただきました。

(2)書くべきところに書く

 当コラムの冒頭で、小規模事業者持続化補助金<一般型>の全体像を見てきましたが、これを把握することにより、何をどこに書くべきか判断がしやすくなります。今回は「顧客ニーズ」を取り上げていますので、そこに書くべき内容は、上記でいうと②③④⑨⑩であり、これらから窺える「当店を利用することによって達成したい顧客の目的」を記載します。

 ①③⑧は次回見ていく「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」に関連する内容ですし、⑤⑥⑦に関しては、「顧客ニーズ」ではなく「市場の動向」と言えますので、そちらへ移動していただきました。

(3)切り口を意識する

 顧客ニーズを検討する際の視点として役立つのが、「Quality (品質)」「Cost(費用、価格)」「Delivery(納期)」の頭文字を繋いだQCDです。どのような品質・価格・納期が求められているのかを日々の接客経験から洗い出すことにより、顧客ニーズを見出しやすくなります。

 このようにして、「2.顧客ニーズと市場の動向」をブラッシュアップしていただきました。次回のコラムでは「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を見ていきます。

5.小規模事業者持続化補助金の申請書類作成をサポートします

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