持続化補助金で店舗改装資金を調達した衣料品店の事例⑥

小規模事業者持続化補助金

 その衣料品店は、創業以来70年以上の業歴を重ね、地域密着型の事業展開をしてこられました。そして、店舗の立地場所近辺には、公共施設や公衆トイレがないことから、衣料品を買いに来られた方以外にも、トイレを借りたいというご要望が多い状況でした。

 ただし、同店のトイレは店舗建設当初からの和式トイレとなっており、不便さを感じる顧客もおりました。そこで今以上に顧客満足度を向上させるために、トイレを洋式に改修するという店舗改装をしたいと考えるようになりました。

 その費用を小規模事業者持続化補助金で調達しようとした同店に対して、弊社は当該補助金における採択可能性を高めるべく、その計画書のブラッシュアップをご支援しました。結果として無事採択されましたが、どのように計画書をブラッシュアップしたのか、複数回にわたってご紹介します。

 第6回目の今回は、様式2-1<補助事業計画>Ⅰ.補助事業の内容の書き方について見て行きます。

1.小規模事業者持続化補助金<一般型>応募の全体像

 まずは、全体像を把握します。事業者が単独で小規模事業者持続化補助金に応募する際は、原則として以下の書類を作成し、締切日までに送付する必要があります。

  • 様式1-1 小規模事業者持続化補助金事業<一般型>に係る申請書
  • 様式2-1 経営計画書兼補助事業計画書①
  • 様式3-1 補助事業計画書②
  • 様式4 事業支援計画書
  • 様式5 補助金交付申請書

 このうち、様式2-1と様式3-1が採択に大きな影響を及ぼします。

2.様式2-1 経営計画書兼補助事業計画書①の全体像

 今回は、様式2-1 経営計画書兼補助事業計画書①を見て行きますが、その構成は以下となっています。

  • <応募者の概要>
  • <経営計画>
  • <補助事業計画>Ⅰ.補助事業の内容

3. <補助事業計画>Ⅰ.補助事業の内容

 今回は<補助事業計画>Ⅰ.補助事業の内容の内容を見て行きますが、その構成は以下となっています。

  1. 補助事業で行う事業名
  2. 販路開拓等(生産性向上)の取組内容
  3. 業務効率化(生産性向上)の取組内容
  4. 補助事業の効果

 今回のコラムでは、2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容を見ていきますが、ここまでをまとめると、今回のコラムでは下図の赤枠で囲んだ部分を見て行くことになります。

 なお、当コラムでは<補助事業計画>の「Ⅰ.補助事業の内容」のうち、「1.補助事業で行う事業名」は公序良俗に反しない限り、30文字以内にまとめるだけで済むという認識であること、「3.業務効率化(生産性向上)の取組内容」は任意記入であることから、説明は割愛しています。

4.「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」の書き方

 同店が事前に当欄に記載された内容は概ね以下のものとなっていました。

【トイレ改修】

 顧客が当店のトイレを利用する際の利便性を向上させるための改修を行う。同一空間に、壁の仕切りだけを設けた和式トイレでは、隣の気配や音が気になるとともに、狭さを感じることから、ゆったりした個室の洋式トイレに改装する。

【トイレ内の段差解消】

 高齢の顧客も多く来店されるので、トイレ内でのつまずき予防のため段差を解消する。

 これらを以下の手順でブラッシュアップしていきます。

(1)シンプルに書く

 上述の【トイレ改修】と【トイレ内の段差解消】は【トイレ改修】にまとめてしまうことが可能です。いたずらに項目を増やさず、ひとつにまとめることができるのであれば、可能な限りまとめてシンプルに記載していただきました。

(2)公募要領を意識して書く

 公募のルールブックである「公募要領」には以下の記載があり、特に赤枠で囲んだ「具体的」という点がポイントとなります。具体的に記載しているということは、どのような行動を起こすのかが明確なっているということですから、実現可能性が高いことが分かりやすくなります。また、事業自体について読み手の理解が容易になるというメリットもあります。

(3)5W1Hを書く

 具体的に書くには、いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)の5W1Hをそれぞれ明確に書くと良いでしょう。以下は5W1Hを具体的に書いた例です。

 このようにして、<補助事業計画>2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容をブラッシュアップしていただきましたが、次回のコラムでは「4.補助事業の効果」を見ていきます。

5.小規模事業者持続化補助金の申請書類作成をサポートします

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