自社の強みが分からない事業者は意外と多い印象がありますが、強みを認識していないということは、顧客に自社を利用していただく理由を与えることができないことを意味します。
小規模事業者持続化補助金申請時のルールブックである公募要領内「審査の観点」にも自社の強みを踏まえているかという記載があり、強みの認識は生き残るために必須と言えるでしょう。
下図は当補助金申請時に作成する【経営計画】と【補助事業計画】の項目一覧表ですが、今回のコラムでは、下図赤字部分【経営計画】「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」の書き方のポイントをご紹介していきます。
1. 採択を目指す方が押さえるべき持続化補助金【経営計画】の書き方Part5
採択を目指す方が押さえるべき持続化補助金【経営計画】の書き方Part5(1)当欄を2つに切り分ける
当欄のタイトルは「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」であり、【自社の強み】と【自社の提供する商品・サービスの強み】の記載が求められています。これらをまとめて書こうとすると、内容が混在して分かりにくくなるリスクが高まるので、切り分けて別々に記載することをお勧めしています。
まず、【自社の強み】の見出し方として「人」「物」「金」「情報」といった経営資源の切り口から洗い出すことも一考です。各経営資源における強みの具体例は以下となります。
- 「人」の強み:経営者・従業員の経歴やスキル・保有している資格など
- 「物」の強み:店舗立地、生産設備、什器など
- 「金」の強み:金融機関との関係性、支払遅滞・利息負担状況など
- 「情報」の強み:ブログ・SNSの投稿頻度やアクセス数、勉強会・研修などへの出席状況など
そして、「物」には自社の製品・商品も含まれますが、その強みは【自社の強み】から切り離し、【自社の提供する商品・サービスの強み】に記載すると収まりがよくなります。
採択を目指す方が押さえるべき持続化補助金【経営計画】の書き方Part5(2)因果関係を意識する
例えば「顧客との関係性が深い」場合、これ自体は強みではなく、深い関係性を築くことのできた要因が強みとなります。例えば、従業員のコミュニケーション力が高いからそうなったのかもしれませんし、SNSで豊富な情報発信をしているからそうなったのかもしれません。
このように「顧客との関係性が深い」は結果であり、それを招いた要因が強みとなることを認識したうえで、因果関係を辿って、自社の強みを洗い出していただきたいと思います。
採択を目指す方が押さえるべき持続化補助金【経営計画】の書き方Part5(3)言葉の定義をする
弊社では、強みを「顧客に価値を与えることのできる差別的優位性のある経営資源」と定義しています。よって「多くのお客様から好評である」といった記述は強みを表していると判断できません。
強みは「経営資源」ですから、前述の通り「人」「物」「金」「情報」の切り口から洗い出すべきですし、それらが顧客にどんな価値を与えているのか、また、同業他社と比べて優れているのかを検討する必要があります。
よって、「多くのお客様から好評である」という結果をもたらした場合、多くのお客様が見出している当社が提供している価値や、それをもたらした差別的優位性のある経営資源を洗い出すことになります。
このように「強み」という言葉の定義を明確にして、それに則って洗い出すこともポイントのひとつと言えるのではないでしょうか。
今回のコラムでは、小規模事業者持続化補助金に申請する際に記載する【経営計画】「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」における書き方のポイントとして、(1)当欄を2つに切り分ける、(2)因果関係を意識する、(3)言葉の定義をする、を挙げました。
次回のコラムでは「4.経営方針・目標と今後のプラン」の書き方を見ていきますが、当シリーズのバックナンバーは以下となります。
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