その健康機器販売店の経営者は、過去に遭遇した交通事故や、長時間に及ぶデスクワークによる同一姿勢の維持などが原因で頸椎を痛め、めまい、手足のしびれ、歩行困難などの症状が発生するようになってしまいました。
様々な病院に通っても症状が改善されない中、ある方から健康機器を紹介されました。当該機器には、エコー検査で体に当てて超音波を受診する役目を果たすプローブ(探触子)に該当するものが付属されており、これを身体の不調を感じる施術箇所に当て、振動を与えるものです。
これを使用してみたところ、症状が劇的に改善しました。この経験を踏まえ、当健康機器の素晴らしさを多くの方に知ってもらいたいと健康機器の販売を始めました。販売方法は、見込客に当健康機器を同店店内で試用し、その効果を体感していただいて販売するというものです。
そのような事業展開を行う中、より多くの見込み客の多様な部位の治療に対応するために、この試用に使う機械のバリエーションを増やしたいと考え、その費用を小規模事業者持続化補助金で調達することにし、応募のための計画書を作成することにしました。
そのご支援を弊社が行い、結果として採択されたわけですが、どのようにしてこの健康機器販売店が、採択レベルの計画書を作成したのかご紹介していきます。
今回のコラムでは、下図の提出書類一覧表の赤枠部分、「様式2-1経営計画書兼補助事業計画書①」<経営計画>「4.経営方針・目標と今後のプラン」を見ていきます。
1.「経営方針・目標と今後のプラン」記入の仕方
今回見ていく「経営方針・目標と今後のプラン」には以下の見出しを設けていただきました。
【経営方針】
【目標】
【今後のプラン】
・行動計画
・売上・利益計画
以降でそれぞれを詳しく見ていきます。
(1)3つに切り分ける
当欄のタイトルは「経営方針・目標と今後のプラン」なわけですが、「経営方針」と「目標」と「今後のプラン」を一緒に書こうとすると、非常にまとまりにくく、冗長になってしまい、結果として読み手に伝わりにくくなってしまいます。そこで、タイトルに従い、まずは「経営方針」と「目標」と「今後のプラン」という3つの見出しを設けました。
(2)販路開拓に関する方針を盛り込む
日本商工会議所、全国商工会連合会が公表している小規模事業者持続化補助金の応募に関するルールブックである公募要領には、当補助金の目的として以下の記載があります。
着目したいのは赤枠で囲んだ「販路開拓等の取組」という部分です。その補助金の目的に自社の方針がマッチしていれば、補助金を有効に使っていただける可能性が高まるという判断をしやすくなります。よって、同店では「営業力強化により、女性需要を取り込み、事業を拡大していく」という販路開拓に関する方針を記載しました。
(3)期限と数値を目標として盛り込む
同店が記載した目標は「○年後の売上高●円超」という一文のみでした。ですが、この一文には、いつまでに達成する目標なのか、測定可能な目標なのかが盛り込まれています。つらつらと冗長な内容を書くよりも、このように端的にポイントをおさえた目標を記載する方が、伝えたいことが読み手に届きやすくなります。
(4)数値計画を盛り込む
同店は、「今後のプラン」として「行動計画」と「売上・利益計画」を記載しました。「行動計画」は多くの事業者が、時間軸がヌケていたり、補助事業の計画になっていたりと不完全ながらも記載してきます。
これに対して、その行動を起こした結果を見込む「売上・利益計画」が記載されているケースはなかなかありません。よってこれを記載することは、他の事業者が提出した計画書に差をつけることが可能となります。そこで、以下のフォーマットに数値を記載していただくとともに、備考欄には説明を盛り込んでいただきました。
このようにして「4.経営方針・目標と今後のプラン」を作成しましたが、次回のコラムでは<補助事業計画>をどのように作成したのかを見ていきます。
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