同社は、全国の顧客企業に研修を提供する会社ですが、見込客の企業に送付するダイレクトメールの作成費用を調達するために小規模事業者持続化補助金に申請したところ、採択されました。その次に同社はホームページの改修とweb・雑誌広告の出稿を行うことにして、応募したものの今度は不採択となってしまいました。
そこで再度応募するにあたり、計画書の内容についてアドバイスを求められた弊社は、この計画書をブラッシュアップする支援を行い、当補助金に応募した同社は採択されました。今回のコラムは、このブラッシュアップのポイントを見ていくシリーズの1回目ですが、過去に採択された事業者が再度採択を狙う場合の留意点についてご紹介していきます。なお、当コラムの内容は2021年8月30日現在の情報に基づいています。
1.過去に採択された事業者における留意点
補助金は公的資金ですので、行政側としては補助金を広く多くの事業者に利用していただきたいという思惑があるはずです。よって、過去に採択された事業者が再び採択を狙う場合、ハードルが上がりますが、対応のポイントは以下の3つです。
(1)自社が採択された回を確認する
小規模事業者持続化補助金に応募する際には、日本商工会議所や全国商工会連合会のホームページから計画書フォーマットをダウンロードする必要がありますが、そのうち「様式2-1 経営計画書兼補助事業計画書①」には以下の記載があります。
赤枠で囲んだ部分に該当するかどうかを確認していただき、該当するようであれば、青枠部分に記載が必要です。平成30年第2次補正予算事業よりも前に小規模事業者持続化補助金に採択された事業者は青枠部分に記載する必要はありません。
今回事例で取り上げた研修会社は、これに該当しましたので青枠部分に記載しましたが、この記載内容が適正なものでないと不採択の可能性が高まってしまいます。では、どのように記載したのかを以下で見ていきます。
(2)何を訴求するべきか明確にする
上図の青枠部分には以下の記述があります。
それぞれ該当する回の補助事業での販路開拓先、販路開拓方法、成果を記載した上で、今回の補助事業との違いを記載してください。
前述のように、補助金は公的資金ですので、行政側としては広く多くの事業者に利用していただきたいという思惑があるはずです。よって、前回と同じ補助事業では採択されないと考えるべきです(ただし例外はありました)。
言い方を変えると、販路開拓先、販路開拓方法、成果が前回と今回で明確に異なっている場合は、採択の可能性はあると解釈できます。そこで、この違いを次のように分かりやすく述べることとなります。
(3)違いを端的に述べる
同社は、不採択となった計画書に以下の内容を記載しておりました。
前回は、△△事業所向けにハガキとFAXでダイレクトメールを配信した。今までアプローチしたことがない△△事業所に○件ほど配信し、●社の問い合わせがあった。現在のところ、◎社が契約にいたっているため、効果は高い。今回は、△△事業所向けにwebと雑誌にて弊社研修の導入事例を訴求する。ハガキとFAXのダイレクトメール以外のアプローチで売上の向上を図る。
この内容で、販路開拓先、販路開拓方法、成果が前回と今回で明確に異なっていることが訴求できているかというと疑問が残りました。そこで以下の表を作成して盛り込みました。
このようにして、前回と今回の違いを明確にし、訴求しました。対象期間に補助金を使用した事業者は、この前回と今回の違いをいかに明確に記載するかがポイントですので参考にして下さい。なお、次回のコラムでは、様式2-1 経営計画書兼補助事業計画書①<経営計画>の「1.企業概要」を見ていきます。
2.小規模事業者持続化補助金の計画書作成をサポートします
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