今回見ていく<補助事業計画>「4.補助事業の効果」欄に「自社の売上が上がる」といった内容を記載する例は非常に多い印象があります。ですが、その記載内容にどれだけの具体性や説得力があるのでしょうか。
計画書の内容全般に言えますが「補助事業の効果」についても、大風呂敷を広げた内容も確実性の高い内容も書けてしまいます。それを読み手に納得していただくためには、単に「自社の売上が上がる」だけでは、足りないことを意識する必要があります。
今回見ていく、持続化補助金に採択された婦人服メインの雑貨店が記載した「補助事業の効果」も、当初は納得度が高いものではありませんでした。そこで、同店が弊社のアドバイスを受け、どのようにして採択レベルの計画書へブラッシュアップしていったのかをご紹介していきます。なお、当コラムの内容は2022年4月28日現在の情報に基づいています。
1. 持続化補助金に採択されチラシなどの販促物を作成した小売店の事例⑩[補助事業の効果編]
持続化補助金に採択されチラシなどの販促物を作成した小売店の事例⑩[補助事業の効果編](1)効果を数値で述べる
同店は「補助事業の効果」として、「売上が獲得できる」「集客力が向上する」といった内容を記載しておりましたが、これらの記述における説得力を向上させるのであれば、いくらの売上が獲得できるのか、どの程度の顧客が増加するのかという形で、数値で効果を述べる必要があることをお伝えしました。
具体的な数値を用いて効果を説明するには、過去のデータから類推するなど、自社の取り組みと顧客動向の分析などそれなりの手間がかかります。よってそれに基づく数値で表した効果は、説得力向上が期待できるでしょう。
持続化補助金に採択されチラシなどの販促物を作成した小売店の事例⑩[補助事業の効果編](2)適切な切り口を設ける
同社の補助事業は、新聞折込チラシ・ダイレクトメール・販促品・のぼり・看板を活用した販路開拓です。また、同社の販売形態は、店頭販売、出張販売、ネット通販ですが、同店はこれらを組み合わせて、補助事業の効果を述べていました。
具体的には、縦軸に新聞折込チラシ・ダイレクトメール・販促品・のぼり・看板を置き、横軸に店頭販売、出張販売、ネット通販を置いた表を作成しました。そして各交点、例えば新聞折込チラシと店頭販売を組み合わせたメリットはなんであるかという形で「補助事業の効果」を述べていました。
ですが、新聞折込チラシと店頭販売を組み合わせたメリットとして記載されていたのは「買い物手段が増加することを認知できる」であり、このことは店頭販売の効果と言うことはできません。そもそも今回の補助事業は、ネット通販の告知をするためですから、店頭販売や出張販売にポジティブな効果は及ぼしにくいと言えます。
よって、切り口を近江商人の「三方よし」になぞらえ、「自社の効果」「顧客の効果」「地域社会の効果」として、補助事業の効果を再考していただきました。
持続化補助金に採択されチラシなどの販促物を作成した小売店の事例⑩[補助事業の効果編](3)数年後の効果も述べる
補助金は使って終わりではなく、補助金を使って「売れる仕組み」を作り、その仕組みを活用するとともにブラッシュアップも図る必要があります。よって、効果は補助事業期間で留まるものではなく、数年に及ぶことが想定されます。
経営者は、今日の飯の糧という短期的な視点の他に、明日以降数年後の飯の糧という中長期的な視点に基づき、補助事業期間以降の効果も検討する必要があります。同店にはこの視点がなかったことから、中長期的な「自社の効果」「顧客の効果」「地域社会の効果」を検討していただきました。
今回のコラムでは、持続化補助金に採択されチラシなどの販促物を作成した小売店がどのようにして採択レベルの計画書を作成したのかというテーマの中で、<補助事業計画>「補助事業の効果」の書き方として、(1)効果を数値で述べる、(2)適切な切り口を設ける、(3)数年後の効果も述べる、を述べました。
ここまで10回のコラムで、婦人服メインの雑貨店がどのようにして採択レベルの計画書を作成したのか、そのポイントを述べてきましたが、各回のポイントは以下の通りです。
なお、当シリーズのバックナンバーは以下となります。採択を目指す方の参考になれば幸甚です。
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