前回不採択だった計画書を今回そのまま提出したら採択されたという事例があります。弊社が関わった案件だけでも複数ありますから、全体としては相当数あるのではないでしょうか。
補助金は計画書の完成度を競うものですから、前回にレベルの高い計画書が集まって不採択であったとしても、今回はレベルの低い計画書が集まるとそのようなことが起こり得ます。
また、審査員は人間が務めますので、審査員による見方が完全に一致しないこともあり得ます。つまり、前回は辛い点数をつける審査員にあたってしまい、今回は甘い点数をつける審査員にあたることもあり得るということです。このように「運」の要素は補助金の採択に影響を与えると言えるでしょう。
今回事例として取り上げる小売店は、高度成長期に大きく業績を伸ばしましたが、大型ショッピングセンターや全国展開するチェーン店の進出により、苦境に陥っていました。ある意味「運」に翻弄されたとも言えますが、同店は持続化補助金を使って状況を打開しようとしていました。
同店は、当補助金を申請するために計画書を作成し、「運」に頼ることなく、より採択の可能性を高めるべく、弊社にその出来栄えに関するアドバイスを求めてこられました。そこで当コラムでは、同店が弊社のアドバイスを受け、<経営計画>「1.企業概要」に記載された内容をどのように修正して採択レベルに持って行ったかを述べていきます。なお、当コラムの内容は2022年4月21日現在の情報に基づいいています。
1. 持続化補助金に採択されチラシなどの販促物を作成した小売店の事例③[企業概要編]
持続化補助金に採択されチラシなどの販促物を作成した小売店の事例③[企業概要編](1)不要なことは記載しない
計画書というものは基本的に「これからのこと」を述べるものですが、それは「これまでのこと」や「現状」を踏まえる必要があると言えるでしょう。弊社では「これまでのこと」は沿革として記載することをお勧めしており、同店もそれを記載しておりました。ただ、その内容に関しては修正の余地がありました。
前回のコラムでも述べたように、当補助金の申請に用いる計画書は8枚以内に収める必要があります。そこで不要な記述は削って、内容を濃くしていくことが計画書の完成度を高めると言えます。
同店が記載した「沿革」には、過去に小規模事業者持続化補助金に採択されたことが、4行にわたって記載されていました。ですが、過去の採択状況に関しては持続化補助金に採択されチラシなどの販促物を作成した小売店の事例①で述べたように「様式2-1経営計画書兼補助事業計画書①<応募者の概要>」欄の最終ページに記載しています。
このような記載内容の重複は計画書における内容の密度を薄くしてしまいます。また、計画書の完成度とは関係ないのですが、過去に採択されたことを何度も述べることはそれを強調することになり、公的資金として多くの方に使っていただきたいという補助金の考え方と相反する印象を強化してしまうリスクもありますので、削除をしていただきました。
持続化補助金に採択されチラシなどの販促物を作成した小売店の事例③[企業概要編](2)複数の地図を盛り込む
同店は、埼玉県〇〇市に立地していることを述べた上で、市内のどこに立地しているのか地図を盛り込んでおりました。これは計画書のリアリティを高めることに繋がりますが、さらに埼玉県の地図を盛り込み、県内のどこに〇〇市があるのかを示していただくとともに、自店の写真も盛り込んでいただきました。
これにより「埼玉県のどこに〇〇市があるのか→〇〇市のどこに当店があるのか→当店」といった、広域から狭域への説明がビジュアルへ訴求でき、よりリアリティを高めることが可能になります。
今回のコラムでは、持続化補助金に採択されチラシなどの販促物を作成した小売店がどのようにして採択レベルの計画書を作成したのか、そのポイントとして、(1)不要なことは記載しない、(2)複数の地図を盛り込む、を述べました。
次回も引き続き、様式2-1経営計画書兼補助事業計画書①<経営計画>「1.企業概要」を見ていきます。なお、当シリーズのバックナンバーは以下となります。
2.小規模事業者持続化補助金の計画書作成をサポートします。
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