持続化補助金に採択されチラシなどの販促物を作成した小売店の事例⑨

小規模事業者持続化補助金

 小規模事業者持続化補助金の申請時に提出する計画書は<経営計画>と<補助事業計画>ですが、後者は補助金を使った事業の計画ですので、その内容には相応の妥当性がないと当補助金制度に採択される価値が疑われてしまいます。ここでいう「補助事業計画の価値」とは、下図公募要領の「審査の観点」内、赤枠部分の内容と捉えることが可能です。

 よって、それぞれの項目へ丁寧に対応することが必要と言えますが、当コラムでは婦人服メインの雑貨店が、弊社のアドバイスを基にしてどのように当補助金に採択されるレベルの計画書を作成したのか、そのポイントを述べていきます。今回は<補助事業計画>「2販路開拓等(生産性向上)の取組内容」の記載ポイントを2022年4月27日現在の情報に基づいて述べていきます。

1. 持続化補助金に採択されチラシなどの販促物を作成した小売店の事例⑨[販路開拓等(生産性向上)の取組内容編]

持続化補助金に採択されチラシなどの販促物を作成した小売店の事例⑨[販路開拓等(生産性向上)の取組内容編](1)全体像を端的に述べる

 同店は、既存顧客へ自社の通販サイトを告知するために、チラシ・ダイレクトメール・看板・販促品などを活用することととし、その費用の一部を当補助金で調達しようとしていました。

 このように複数の補助事業を実施しようとする場合、その説明方法を工夫しないと内容が冗長になりがちで、読み手に伝わりにくいものとなってしまいます。そこで、まずは「補助事業はチラシ・ダイレクトメール・看板・販促品の作成・配布・設置である」と述べていただき、冒頭で補助事業の全体像を把握できるようにしていただきました。

持続化補助金に採択されチラシなどの販促物を作成した小売店の事例⑨[販路開拓等(生産性向上)の取組内容編](2)書くべき内容を書く

 当欄のタイトルは「販路開拓等(生産性向上)の取組内容」であり、補助事業の内容を記載する欄になりますが、同店は、当欄に以下の内容を記載していました。

  • 新型コロナウイルスの感染拡大により、衛生用品を筆頭に全国から問い合わせをいただき、通販の需要が高まっていることを実感した。
  • 新型コロナウイルスの感染拡大により、ネット通販を立ち上げる事業者が激増している状況である。

 これらは外部環境に関する内容であり、当欄に記載するよりも<経営計画>「2.顧客ニーズと市場の動向」欄に記載した方が、妥当性が向上すると考えられますので、そちらへ移動していただきました。

 葬儀に参列する際にウエディングドレスを着て参列する女性はいないと思いますが、その理由は、葬儀にはそれにふさわしい服装があるからのはずです。にもかかわらずウエディングドレスを着て葬儀に参列すると周囲の参列者は違和感を覚え、その方との関わりを避けようとするでしょう。同様に、ふさわしい場所にふさわしい内容を記載しないと、読み手は違和感を抱き、計画書の理解が進みにくくなってしまいます。

持続化補助金に採択されチラシなどの販促物を作成した小売店の事例⑨[販路開拓等(生産性向上)の取組内容編](3)5W1Hを明確にする

 前述の公募要領「審査の観点」には「補助事業は具体的で」という記述がありますが、弊社ではこの具体性を高めるために、「いつ(When)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どこで(Where)、どのように(How)」の5W1Hを明確に記載することをお勧めしています。

 チラシであれば、いつ作成・配布するのか(When)、だれがだれにチラシの作成・配布を発注するのか(Who)、どのような特徴のチラシを作成・配布するのか(What)、なぜそのチラシを作成・配布するのか(Why)、どこで作成しどこへ配布するのか(Where)、どのように作成・配布状況を把握するのか(How)、といった内容を記載していただきました。

 なお、前述の公募要領「審査の観点」には「創意工夫の特徴があるか」という記載もありますので「どのような特徴のチラシを作成・配布するのか(What)」の部分で、創意工夫の特徴が何なのかが分かるような注釈も入れていただきました。併せてダイレクトメール・看板・販促品についても、それぞれの5W1Hを記載していただきました。

 今回のコラムでは、持続化補助金に採択されチラシなどの販促物を作成した小売店がどのようにして採択レベルの計画書を作成したのかというテーマの中で、<補助事業計画>「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」の書き方として、(1)全体像を端的に述べる、(2)書くべき内容を書く、(3)5W1Hを明確にする、を述べました。

 次回のコラムでは、様式2-1経営計画書兼補助事業計画書①<補助事業計画>「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」を見ていきます。なお、当シリーズのバックナンバーは以下となります。

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