新聞の市場規模はここ14年間で3割以上縮小しています。活字離れ・スマートフォンによる情報収集の進展などがその理由とされています。そこで、各家庭に新聞を届ける新聞販売店の統廃合が進む中、今回ご紹介する新聞販売店は、矢継ぎ早に新規事業へ打って出ており、業績を伸張させていました。
同店は、さらなる新規事業として新聞購読者に対して家電のカタログ販売をすることとし、そのための新聞折込による告知費用と顧客管理システム導入費用を小規模事業者持続化補助金で調達することとしました。
そのご支援を弊社が行い、無事採択されたわけですが、どのようにして同店が採択される計画書を作成したのかをご紹介します。今回のコラムでは、下図の提出書類一覧表の赤枠部分、「様式2-1経営計画書兼補助事業計画書①」<経営計画>「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を見ていきます。
1.「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」記入の仕方
(1)「強み」を定義する
当欄は「強み」を記載する欄なので、「強み」以外の内容は不要ということになります。よって、そもそも「強み」とは何か、何をもって「強み」というのかを予め定めておく必要があります。
弊社ではこれを「顧客に価値を提供でき、競合より優れている経営資源」としており、これを意識しながら「強み」を洗い出しました。では、洗い出した強みをどのようにして記載していったかを以下で述べていきます。
(2)当欄を2つに切り分ける
当然のことですが、当欄には「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を記載する必要がありますが、内容の精度を向上させるために、当欄に【自社の強み】と【自社の提供する商品・サービスの強み】と2つの見出しを設けていただき、それぞれの見出しに応じた内容の記載を意識していただきました。
以下では、【自社の強み】と【自社の提供する商品・サービスの強み】それぞれをどのように記載したかを述べていきます。
(3)【自社の強み】は4方向から検討する
前述の通り、「強み」とは「顧客に価値を提供でき、競合より優れている経営資源」です。経営資源は以下から構成されます。
- 経営者やスタッフの経歴、スキル、保有資格といった「人的資源」
- 店舗、設備、商品といった「物的資源」
- 事業資金の残高、借入枠、借入金の返済状況、金融機関との関係性といった「財務的資源」
- 受発信している情報、社内に蓄積されているノウハウといった「情報的資源」
よって、【自社の強み】はこれら「人」「物」「金」「情報」の4方向から強みを洗い出します。ただし、「物的資源」の「商品」に関しては【自社の提供する商品・サービスの強み】に記載することになりますので、【自社の強み】の「物的資源」を記載する際に「商品」に関する記載は省くこととなります。
具体的には概ね以下の内容を記載しました。
- 当社代表は、事業継続に対し常に危機意識があるとともに、事業に対する独創性が高い。
- レスポンスの良い組織風土が醸成されている。
- ○年以上運営された新聞店を引き継いで事業運営を行っているため、創業◎年目にして、●世帯の顧客情報を活用できる。
- △△制度や▽▽の無料配布、▲▲サービスといった固定化策の他、▼割以上の顧客から対面で集金を行っており、顧客との関係性が深い。
- 近隣の□□新聞販売店と連携した事業展開が可能である。
- ◇◇をテーマに経営革新計画の承認を取得しており、新規事業を展開しようという意欲と中長期的な視点での意思決定を行うことができている。
(4)【自社が提供する商品・サービスの強み】はサービスのみの記載でも良い
同店が提供している商品は新聞であり、それは品質・価格・納期において差別的優位性が認められるわけではありません。反面、顧客に対するサービスは差別的優位性が認められるため、概ね以下の内容を記載しました。
- 新聞購読者を主要顧客として、■■サービスを展開しており、顧客の生活の質を向上させている。
- 終活を始めた顧客の不要品を◆◆するサービスを行っており、顧客の財産形成に寄与している。
このようにして「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を記載しましたが、次回は「4.経営方針・目標と今後のプラン」を見ていきます。なお、当シリーズのバックナンバーは以下となります。
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