小規模事業者持続化補助金一般型に採択された卸売業の事例⑤

小規模事業者持続化補助金

 同社は制服を提供する卸売業ですが、新型コロナウイルス感染症の影響で、テレワークを取り入れる企業が増加したことから、出社して制服で仕事をする必要がなくなった方が増え、販売が落ち込んでしまいました。

 そこで、ネット通販を強化するべく小規模事業者持続化補助金に応募したところ採択され、業績を回復させました。そして、さらなる業績の回復を狙うべく、今回は同補助金で紙製のカタログを作成し、配布することにしました。

 経営者は、前回に引き続き、弊社に計画書作成の支援をご依頼され、結果として同社は今回も採択されたわけですが、同社が採択される計画書をどのように作成したのかをご紹介していきます。

 下図は、小規模事業者持続化補助金<一般型>に応募する際の作成資料ですが、今回のコラムでは、その赤枠部分、様式2-1 経営計画書兼補助事業計画書① <経営計画>「4.経営方針・目標と今後のプラン」について見ていきます。

1.「経営方針・目標と今後のプラン」の書き方

(1)【経営方針】には経営理念を盛り込む

 同社は当欄に【経営方針】【目標】【今後のプラン】と3つの見出しを設けましたが、【経営方針】という見出しの下には同社の存在意義、つまり「なぜ貴社は存在しているのですか」という問いに対する答えである経営理念を盛り込みました。

 経営方針は、経営目標・目的を達成するための方向性ですが、それは経営理念に基づく必要があります。よって、経営理念を記載せずに経営方針のみを記載すると、存在意義に基づく方針かどうかが分かりませんし、そもそも存在意義を認識しているのかという疑問を読み手が抱いてしまうリスクが考えられます。

(2)【目標】は期限を切る

 次に同社は【目標】という見出しの下に、数値で表すことのできる定量的目標と、数値で表すことが困難な定性的目標を記載しました。定量的目標としては売上高と伸び率、定性的目標としては「日本で一番○○の会社になる」という目標を掲げました。

 また、目標は達成することが前提ですので、いつまでにその目標を達成するのかという期限を設ける必要がありますが、同社は「3年後」という期限を記載しました。この場合、定量的目標は3年後に達成率が分かりますが、定性的目標はそれを把握することが困難です。よって、目標は可能な限り定量化する必要があると言えるでしょう。

(3)【今後のプラン】は表形式にする

 同社は【今後のプラン】として、縦軸に具体的行動を、横軸に時間軸をとった表を作成し、いつ何を実行するのかが分かるようにしました。

 縦軸の具体的行動は、人・物・金・情報という4つの経営資源を拡充するという観点から洗い出しました。また、横軸の時間軸は3年とし、各年を3か月ごとに区切りました。

 ここまで、「4.経営方針・目標と今後のプラン」を記載する際のポイントとして(1)【経営方針】には経営理念を盛り込む、(2)2種類の【目標】を記載する、(3)【今後のプラン】は表形式にする、を述べてきました。次回のコラムではこれに続く<補助事業計画>「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」を見ていきます。

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