その自動車整備工場は、観光地に近い場所に立地しており、出先で事故や車両トラブルに見舞われたドライバーからの連絡を受け、レッカー移動や修理などを実施するロードサービスを大きな収益源としていました。
ところが、新型コロナウイルスの影響により、外出する方が激減した結果、ロードサービスの依頼も激減し、売上が大きく低下してしまいました。そこで、小規模事業者持続化補助金を活用し、インターネットで自社の訴求力を高めようと考え、結果として当該補助金に採択されました。
当コラムでは、同社がどのように計画書を作成したのかをご紹介していきますが、下図は当補助金に申請する際に原則として作成しなければならない書類の一覧表であり、今回は下図赤枠部分の「様式2-1経営計画書兼補助事業計画書①」 <経営計画>「2.顧客ニーズと市場の動向」の書き方について見て行きます。なお、当コラムの内容は2020年9月7日時点の情報に基づいています。
1.持続化補助金でコロナに立ち向かう自動車整備工場の事例「顧客ニーズと市場の動向」の書き方
持続化補助金でコロナに立ち向かう自動車整備工場の事例「顧客ニーズと市場の動向」の書き方(1)内容を切り分ける
当欄のタイトルは「顧客ニーズと市場の動向」であり、2つのテーマが盛り込まれています。これを1つの文章でまとめようとすると、冗長性が高まり、読み手に伝わりにくくなってしまうリスクがあります。
そこで弊社では、「顧客ニーズ」と「市場の動向」と見出しを設け、切り分けて記載することをお勧めしています。ですが、これまでいくつかの事業者が書かれた「顧客ニーズ」を拝見すると「顧客ニーズ」と捉えることが困難な記述も見受けられ、次の手立ても講じる必要があります。
持続化補助金でコロナに立ち向かう自動車整備工場の事例「顧客ニーズと市場の動向」の書き方(2)言葉を定義する
事前に、自社なりの「顧客ニーズ」という言葉の定義を明確にしておき、それに則った記述により、記載した顧客ニーズの整合性をとったり、読み手の解釈による誤解を防止する必要があります。よって、顧客ニーズを列挙する前にその定義を記載していただきました。なお、弊社では、顧客ニーズを「自社を使用することで達成したい顧客の目的」と定義づけています。
また、当事例では主要顧客であるJAF(日本自動車連盟)、保険会社、一般個人という3つの客層が持つニーズをその言葉の定義に基づき、列挙しました。
持続化補助金でコロナに立ち向かう自動車整備工場の事例「顧客ニーズと市場の動向」の書き方(3)図表を使用する
これは「市場の動向」を記載する際の留意点です。文章で市場規模や人口動向の推移を説明されても読み手はなかなかピンと来ないものですが、グラフを用いて説明することにより、理解は深まりやすくなります。当事例の整備工場では、商圏人口の動向についてグラフを用いて説明しました。
なお、この際に活用したのが、地域経済分析システムRESAS(リーサス)です。これは、産業構造や人口動態、人の流れなどに関する官民のビッグデータを集約し、可視化を試みるシステムであり、インターネットでのアクセスが可能です。
これを活用していただいた理由は、小規模事業者持続化補助金応募のルールブックである公募要領に以下の記述があるからです。
持続化補助金でコロナに立ち向かう自動車整備工場の事例「顧客ニーズと市場の動向」の書き方(4)競合動向を盛り込む
今回ご紹介した「2.顧客ニーズと市場の動向」に続く項目は「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」です。この「強み」は競合他社と比較して優れている経営資源ですから、市場の動向として競合動向を盛り込むことは「強み」の説得力を高めることとなります。よって、社名、住所(当社からの車での所要時間)、URL、特徴を一覧表にして記載しました。
ここまで「2.顧客ニーズと市場の動向」の記載ポイントとして、(1)内容を切り分ける、(2)言葉を定義する、(3)図表を使用する、(4)競合動向を盛り込む、を述べましたが、次回は前述の通り「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を見て行きます。
2.当コラムの解説動画
3.小規模事業者持続化補助金の申請書類作成をサポートします
弊社の1,000件を超える支援実績を通じて蓄積してきたノウハウを活用して、採択の可能性を高める計画書作成のお手伝いをいたします。詳しくはこちらから↓↓↓
4.メルマガ会員様募集中
メルマガ会員様には、リアル店舗の現場経験20年以上、コンサルティング歴10年以上【通算30年以上のノウハウ】を凝縮した【未公開のコラム】を優先的に配信しています。
メルマガ登録はこちらから↓↓↓
https://ssl.form-mailer.jp/fms/33bd5af2611330
5.電子書籍のご案内
1年で70人のアルバイトに辞められたガソリンスタンド店長が人材に全く困らなくなった理由【育成編】