持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】に採択された染色業の事例③

小規模事業者持続化補助金

 同社は、創業100年を超える染色業です。布を染め、手ぬぐいやはっぴなどとして小売業や自治体へ販売していますが、新型コロナウイルス感染症の拡大により、お祭りなどのイベントが軒並み中止となり、染め物に対する需要が激減し、同社の業績も落ち込んでしまいました。

 そこで、同社はインターネットで一般消費者が染め物を注文できる新規事業を立ち上げ、その強化を図るために、かかる費用の一部を小規模事業者持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】で調達しようと申請をし、採択という結果を得ることができました。これを受け、同社が作成した計画書の内容を基に、採択を引き寄せる書き方を見ていきます。

 下図は当補助金を申請する際に作成する「【様式1】経営計画および補助事業計画」ですが、今回のコラムでは赤枠部分<補助事業計画>「2.補助事業の内容」の書き方について見ていきます。なお、当コラムの内容は2022年2月17日時点の情報に基づいています。

1.持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】に採択された染色業の事例[補助事業の内容編]

持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】に採択された染色業の事例[補助事業の内容編](1)但し書き・見出しに沿った内容を記載する

 当欄のタイトルは「補助事業の内容」ですが、記載したい内容を思いつくままに、ただ記載するのは得策ではありません。まず「補助事業の内容」としてどのような内容が求められているのかを把握する必要がありますが、その方法として計画書フォーマットの但し書き・見出しをしっかり把握することが挙げられます。

 前述の「【様式1】経営計画および補助事業計画」のフォーマットは小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>のホームページからダウンロードできますが、今回見ていく<補助事業計画>「2.補助事業の内容」欄には以下の記述があります。

※感染拡大防止のための対人接触機会の減少に資する新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入等の取組について、取組内容実施体制スケジュールを具体的に記載してください。

 さらには以下の見出しも設けられています。

補助事業内容(取組内容)
■必要な理由
事業実施スケジュール

 よって、但し書きの取組内容実施体制スケジュールと、3つの見出しのうち但し書きに含まれていない必要な理由が求められていることが分かります。同社はこれらを漏れなく記載しており、この点が採択を引き寄せた要因のひとつと考えられます。

持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】に採択された染色業の事例[補助事業の内容編](2)公募要領「審査の観点」を意識する

 当欄には取組内容実施体制スケジュール必要な理由の記載が求められていると述べましたが、同社は取組内容として具体的に何をしたいのかを記載しておりました。

 当補助金のルールブックである公募要領は、やはり前述の小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>のホームページからダウンロードできるわけですが、その中には以下に示した「審査の観点」というページがあり、文字通りどのような観点から審査をするのかが記載されています。

 上図のうち、下線部分「補助事業計画の有効性」が今回見ている<補助事業計画>「2.補助事業の内容」に関する審査の観点と解釈できますが、これが具体的に何を意味しているのかは、下図、小規模事業者持続化補助金<一般型>の公募要領「審査の観点」に記載があります。

 上図赤枠部分に「③補助事業計画の有効性」の記載があり、同社が当欄に記載した内容は、下表のように上図赤枠内の下線部分すべてに対応していました。

 このように公募要領の「審査の観点」をしっかり読み解き「補助事業計画の有効性」の各項目を意識して記載したことも同社が採択を引き寄せた要因のひとつと考えられます。

持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】に採択された染色業の事例[補助事業の内容編](3)ビジュアルに訴求する

 同社は「スケジュール」として、横軸に時間、縦軸に実施事項をとった表を作成し、補助事業として、いつ何を行うのかが一目でわかるように記載していました。また「必要な理由」としてグラフを盛り込んで説明をしていました。

 このように文章だけでなくビジュアルに訴求することで、読み手の理解が深まりやすくしたことも採択を引き寄せた要因のひとつと考えられます。

 今回のコラムでは、小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型>に採択された計画書の<補助事業計画>「2.補助事業計画」から、採択を引き寄せる書き方として(1)但し書き・見出しに沿った内容を記載する、(2)公募要領「審査の観点」を意識する、(3)ビジュアルに訴求する、を挙げました。

 次回のコラムでは、今回に引き続き<補助事業計画>「3.補助事業の効果」を見ていきますが、同社の事例をご紹介した前回のコラムは以下となります。

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