同社は、創業100年を超える染色業です。布を染め、手ぬぐいやはっぴなどとして小売業や自治体へ販売していますが、新型コロナウイルス感染症の拡大により、お祭りなどのイベントが軒並み中止となり、染め物に対する需要が激減し、同社の業績も落ち込んでしまいました。
そこで、同社はインターネットで一般消費者が染め物を注文できる新規事業を立ち上げ、それを強化する費用の一部を小規模事業者持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】で調達しようと申請をし、採択という結果を得ることができました。
これを受け、同社が作成した計画書の内容を基に、採択を引き寄せる書き方を見ていきます。
下図は当補助金を申請する際に作成する「【様式1】経営計画および補助事業計画」ですが、今回のコラムでは赤枠部分＜補助事業計画＞「３．補助事業の効果」の書き方について見ていきます。なお、当コラムの内容は2022年2月18日時点の情報に基づいています。
1．持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】に採択された染色業の事例[補助事業の効果編]
持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】に採択された染色業の事例[補助事業の効果編]（１）見込むことのできる売上高を示す
同社は、当補助事業を実施することによって、売上高がどの程度見込めるのか具体的な数値を用いて説明をしていました。この数値で表すことのできる効果を定量的効果と言いますが、これは効果の「量」を示すため、具体性が高まることから、説得力の向上が期待でき、同社が採択を引き寄せた要因のひとつと考えられます。
また、この売上高は単年ではなく5年にわたって、各年度においてどの程度見込むことができるのかを表形式で示しておりました。このように複数年度に及ぶ効果を述べることは、より大きな効果を見込めることが訴求できますし、表形式にすることによって見やすさが向上しますので、結果として採択にポジティブな影響を与えたのではないでしょうか。
持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】に採択された染色業の事例[補助事業の効果編]（２）見込んだ売上高の根拠を示す
前述の通り同社は、見込むことのできる売上高を記載していましたが、その他に販売数量も記載していました。ただし、売上高は販売数量と販売単価の掛け算で算出されますが、同社は販売単価の記載をしていなかったため、片手落ちの状態になっていました。
よって、販売単価も記載することでより説得力が向上するわけですが、なぜその販売数量と販売単価を見込んだのかというさらなる根拠も示すことによって、採択の可能性はより高まったと感じました。
なお、根拠としてはテストマーケティングの結果を踏まえた数値であることや、これまでの販売実績を踏まえた数値であることなどが挙げられます。
持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】に採択された染色業の事例[補助事業の効果編]（３）利益を示す
同社は、これまで事業者や自治体との取引をメインとしていましたが、当補助事業を実施することで利益率の高い消費者との取引を強化しようとしていました。よって、効果として利益率が向上することを述べていたにもかかわらず、それを数値で示すことができておりませんでした。
補助金の財源は税金ですから、補助金を交付することによってその事業者の利益を上昇させ、納税額をさらに増やしたいという意図があるはずです。売上高だけ上昇しても利益が上昇しないとその意図に応えることが困難になるので、利益が向上するという効果を記載する必要があるはずですが、どの程度利益が上昇するのかを数値を用いて具体的に記載すると、より採択の可能性は高まったのではないでしょうか。
今回のコラムでは、小規模事業者持続化補助金＜低感染リスク型＞に採択された計画書の＜補助事業計画＞「３．補助事業の効果」から、採択を引き寄せる書き方として（１）見込むことのできる売上高を示す、（２）売上高の根拠を示す、（３）利益を示す、を挙げました。
ここまで4回にわたり同社の事例を通じて、採択される計画書の書き方を見てきましたが、同社が作成した計画書は、全体として表や写真が効果的に盛り込まれており、読みやすい印象を受けました。各コラムのポイントをまとめたものが下表になります。
また、同社の事例をご紹介した前回のコラムは以下となります。
２．小規模事業者持続化補助金の計画書作成をサポートします。
1,000件を超える支援実績を通じて蓄積してきたノウハウを活用して、計画書作成のサポートを行い、採択の可能性を高めます。詳しくはこちらから↓↓↓
３．メルマガ会員様募集中
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４．電子書籍のご案内（2021年3月22日発行）
小規模事業者持続化補助金に応募したくなる本