その鍼灸治療院は、女性鍼灸師が代表で創業4年を迎えましたが、客単価を向上させるべく、健康保険を活用した診療の他に、自費での診療を増やしたいと考えており、自院の訴求力を高める必要性を感じていました。
そのために、動画制作、ホームページ立上げ、チラシの制作と新聞折込を行いたいと考え、その費用を小規模事業者持続化補助金で調達することとし、応募のための計画書を作成することにしました。
そのご支援を弊社が行い、結果として採択されたわけですが、どのようにしてこの鍼灸治療院が、採択レベルの計画書を作成していったのかをご紹介していきます。
今回のコラムでは、下図の提出書類一覧表の赤枠部分、「様式2-1経営計画書兼補助事業計画書①」<経営計画>「2.顧客ニーズと市場の動向」を見ていきます。
1.持続化補助金に採択された鍼灸治療院の計画書作成事例【顧客ニーズと市場の動向の書き方編】
持続化補助金に採択された鍼灸治療院の計画書作成事例【顧客ニーズと市場の動向の書き方編】 (1)同欄を切り分ける
同欄のタイトルは「顧客ニーズと市場の動向」ですが、このタイトルを受け、そのまま書こうとすると内容が冗長になり、読み手に伝わりにくくなってしまいます。にも関わらず、そのまま書こうとするのは、日本商工会議所、全国商工会連合会が公表している当欄の記入例が以下であることも影響していると考えられます。
補助金は事業計画書の完成度について、相対評価されますので、記入例を参考にしつつ、読み手に伝わりやすい内容にするためには、「顧客ニーズと市場の動向」をまとめて記載するのではなく【顧客ニーズ】【市場の動向】に切り分けて記載することをお勧めしており、同院にもそのようにしていただきました。
持続化補助金に採択された鍼灸治療院の計画書作成事例【顧客ニーズと市場の動向の書き方編】(2)【顧客ニーズ】を切り分ける
同院の代表は女性であり、原則として女性をターゲットとした事業展開をしています。そこで、メインターゲットである<女性客のニーズ>と、<全般的なニーズ>に切り分けて記載しました。具体的には以下となります。
<女性客のニーズ>
- 「股関節痛」「パーキンソン病」「肩こり」「五十肩」「腰痛・膝痛」「腱鞘炎」「倦怠感(不定愁訴)」という女性に多く見られる体の不調を治したいニーズ
- 「化粧をして施術に出かけるのが面倒」、「介護が必要な家族のそばを離れることが困難」といった理由により、訪問型診療を望むニーズ
- 「男性に肌を触られたくない」というニーズ
<全般的なニーズ>
- 「急な不調をどうにかして欲しい」というニーズ
- 「出歩けないので自宅に来て施術して欲しい」というニーズ
- 「痛くてもいいから針を打って治して欲しい」というニーズ
- 「女性スタッフの柔らかく、きめ細かい対応で施術して欲しい」というニーズ
- 「寝たきりや在宅で療養を続ける方のご病状や環境は様々であり、通院が前提の治療院よりも柔軟な対応をして欲しい」というニーズ
持続化補助金に採択された鍼灸治療院の計画書作成事例【顧客ニーズと市場の動向の書き方編】(3)【市場の動向】を切り分ける
市場の動向に関しては<市場規模><商圏動向><競合動向>の3つに切り分けて記載しました。
まず<市場規模>ですが、全体的な市場の動向を捉えるために、鍼灸の市場動向を記載しようとしました。ですが、それに該当する内容の統計データを見つけることができず、同院の利用者はご高齢の方が多いことに着目し、介護の市場規模について、その推移を統計データで湿しました。
また<商圏動向>ですが、商圏の人口動向と高齢化率を過去15年、将来15年の30年間のスパンで、5年毎にどうなってきたのか、そしてどうなっていく予想なのかを調べて記載しました。
さらに<競合動向>ですが、商圏内の競合院について、社名、住所、特徴を一覧表にして盛り込みました。この内容をもとに、次回のコラムで見ていく「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を記載していくこととなります。
このようにして、「2.顧客ニーズと市場の動向」を記載しましたが、次回は「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」について見ていきます。なお、当シリーズのバックナンバーは以下となります。
2.小規模事業者持続化補助金の申請書類作成をサポートします
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