その鍼灸治療院は、女性鍼灸師が代表で創業4年を迎えましたが、客単価を向上させるべく、健康保険を活用した診療の他に、自費での診療を増やしたいと考えており、自院の訴求力を高める必要性を感じていました。
そのために、動画制作、ホームページ立上げ、チラシの制作と新聞折込を行いたいと考え、その費用を小規模事業者持続化補助金で調達することとし、応募のための計画書を作成することにしました。
そのご支援を弊社が行い、結果として採択されたわけですが、どのようにしてこの鍼灸治療院が、採択レベルの計画書を作成していったのかをご紹介していきます。
今回のコラムでは、下図の提出書類一覧表の赤枠部分、「様式2-1経営計画書兼補助事業計画書①」<経営計画>「4.経営方針・目標と今後のプラン」を見ていきます。
1.「経営方針・目標と今後のプラン」記入の仕方
(1)同欄を切り分ける
同欄のタイトルは「経営方針・目標と今後のプラン」ですが、このタイトルを受け、そのまま書こうとすると内容が冗長になり、読み手に伝わりにくくなってしまいます。にも関わらず、そのまま書こうとするケースが多いのは、日本商工会議所、全国商工会連合会が公表している当欄の記入例が以下となっていることも影響していると考えられます。
補助金の採択者を決める審査は、事業計画書の完成度について相対評価をしますので、記入例を参考にしつつ、読み手に伝わりやすい内容にするためには、「経営方針・目標と今後のプラン」を一緒くたにして記載するのではなく【経営方針】【目標】【今後のプラン】に切り分けて記載することをお勧めしており、同院にもそのようにしていただきました。
(2)【経営方針】に経営理念を盛り込む
経営理念は「自社は何のために存在しているのか」という問いに対する答え、つまり自社の存在意義と言えます。よって、内容もそうですが、まずは存在意義を決めているかどうかが重要です。
そして、自社の方向性としての【経営方針】は、経営理念と整合性がとれている必要があります。これらを踏まえて、同院には経営理念を記載していただいた上で【経営方針】を盛り込んでいただきました。
(3)【目標】は可能な限り数値で
【目標】は数字で表すことのできる「定量的目標」と、数字で表すことが困難な「定性的目標」があります。「定量的目標」の具体例としては「売上高○○円」「利益●●円」などが、「定性的目標」の具体例としては「顧客満足度の向上」「接客品質の高度化」などがあります。
留意したいのは「定性的目標」は達成度を測ることが困難だということです。そこで、可能な限り「定量的目標」を掲げていただきました。同院の場合は「売上高」「売上構成」「人員構成」を目標として記載しました。
(4)【今後のプラン】は表にする
【今後のプラン】とは計画ですから、行動と行動する時期を記載する必要があります。同院の場合、縦軸に行動を、横軸に時間軸をとった表を掲載しました。
行動は、製品戦略、価格戦略、チャネル戦略、販売促進戦略の4つの観点から検討しました。これら4つの観点はマーケティングの4P、マーケティングミックスと呼ばれ、売れる仕組みを構築する際に持っておきたい観点です。詳しくは以下のリンクをご覧下さい。
同院の場合、製品・チャネル戦略に関する行動は予定しておらず、価格戦略・販売促進戦略関連の行動を縦軸に列挙しました。また、横軸には3年間の時間軸をとり、いつどの行動を起こすのか分かるようにしました。
このようにして、「4.経営方針・目標と今後のプラン」を記載しましたが、次回は<補助事業計画>について見ていきます。なお、当シリーズのバックナンバーは以下となります。
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