小規模事業者持続化補助金の採択ポイント:食品スーパーの事例⑤

小規模事業者持続化補助金

 同店は創業45年を超えた食品スーパーであり、かつては道路を挟んで2店舗を展開していましたが、今は片方の店舗は空き店舗となっており、もう片方の店舗だけで事業展開をしています。数年前より、チェーン展開する複数の大型スーパーが近隣に出店するようになり、業績は厳しい状況になっていました。

 そこで、現状を打破するために(1)空き店舗の改修、(2)看板の作成・設置、(3)チラシの作成・新聞折込み、(4)通信販売用ホームページの作成をすることにし、その費用の一部について小規模事業者持続化補助金を活用することとしました。

 弊社はその際に応募用の計画書を作成するご支援を行い、結果として同店は当補助金に採択されましたが、どのように計画書を作成したのかをご紹介します。

 下図は応募時に作成しなければならない書類ですが、今回のコラムでは以下の赤枠部分、様式2-1 経営計画書兼補助事業計画書①<補助事業計画>「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」をどのように記載したのかを見ていきます。

 なお「1.補助事業で行う事業名」に関しては、事例で理解する低感染リスク型ビジネス枠の採択ポイント③ を参考にしてください。

1.「販路開拓等(生産性向上)の取組内容」の書き方

(1)補助事業の全体像を示す

 当欄は<補助事業計画>の一部なので、補助金を使って何を行うのかという点を述べる必要があります。そこで、まずそのことを冒頭に示すことにより、読み手は全体像が把握でき、理解が深まりやすくなります。

 何に補助金を使うのかが経費明細表まで見ないと分からないようでは、読み手としては補助事業の内容を理解するまでに時間がかかってしまうことに留意し、同店は当欄冒頭に「販路開拓等(生産性向上)の取組内容は(1)店舗改修、(2)看板作成・設置、(3)チラシの作成と新聞折込み、(4)通信販売用ホームページ作成である。」と記載し、以降で各補助事業の説明を盛り込んでいきました。

(2)具体的に説明する

 日本商工会議所・全国商工会連合会が公表している、応募の際のルールブックである公募要領には、どのような観点から審査が行われるのか「審査の観点」というページがあります。

 ここには「補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか。」という記載があり、それぞれの補助事業を具体的に示すことが求められています。

 そこで同店では、いつ(When)・だれが(Who)・なにを(What)・なぜ(Why)・どこで(Where)・どのように(How)行うのかという5W1Hを用いて、(1)店舗改修、(2)看板作成・設置、(3)チラシの作成と新聞折込み、(4)通信販売用ホームページ作成、それぞれの補助事業の説明を盛り込みました。

 例えば(1)店舗改修であれば、以下の形でまとめました。

(3)創意工夫の特徴を盛り込む

 前述の公募要領には「補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか。」という記載もあります。そこで、各補助事業を5W1Hで説明した後に、創意工夫の特徴に関する説明も以下のように盛り込みました。

(1)店舗改修における創意工夫の特徴:3密回避のためオープンテラスとした点、多目的な使用を意識している点。

(2)看板作成・設置における創意工夫の特徴:白いアルミ複合板を使用し、食品を取り扱う事業者として清潔感を訴求する点。

(3)チラシの作成と新聞折込みにおける創意工夫の特徴:▼▼の背景、利用方法を詳しく述べる点。

(4)通信販売用ホームページ作成における創意工夫の特徴:□□を動画で訴求し、理解を促す点。

 このようにして「販路開拓等(生産性向上)の取組内容」を記載しましたが、次回のコラムでは「補助事業の効果」について見ていきます。

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