小規模事業者持続化補助金の採択ポイント:食品スーパーの事例⑥

小規模事業者持続化補助金

 同店は創業45年を超えた食品スーパーであり、かつては道路を挟んで2店舗を展開していましたが、今は片方の店舗は空き店舗となっており、もう片方の店舗だけで事業展開をしています。数年前より、チェーン展開する複数の大型スーパーが近隣に出店するようになり、業績は厳しい状況になっていました。

 そこで、現状を打破するために(1)空き店舗の改修、(2)看板の作成・設置、(3)チラシの作成・新聞折込み、(4)通信販売用ホームページの作成をすることにし、その費用の一部について小規模事業者持続化補助金を活用することとしました。

 弊社はその際に応募用の計画書を作成するご支援を行い、結果として同店は当補助金に採択されましたが、どのように計画書を作成したのかをご紹介します。

 下図は応募時に作成する書類ですが、今回のコラムでは以下の赤枠部分、様式2-1 経営計画書兼補助事業計画書①<補助事業計画>Ⅰ.補助事業の内容「4.補助事業の効果」をどのように記載したのかを見ていきます。

1.「補助事業の効果」の書き方

(1)3者にとっての効果を書く

 補助金の財源は税金ですから、補助金という名の税金を使うことにより、今以上に納税額を増加させることが見込まれると、補助金に採択する価値が出てきます。納税額を増加させるには利益を増加させる必要がありますので、補助事業の効果としては、自社の収益性に関する内容の記載をお勧めしています。同店では、補助事業によって増加が見込まれる売上高と利益を記載しました。

 また、売上高や利益を得るには、顧客に何らかの価値を与える必要があります。よって、その補助事業を行うことで、顧客が得ることのできる効果も記載する必要があります。具体的には、店舗改修によるイートインコーナーの設置によって、できたての惣菜をその場で食すことができるといった内容です。

 さらには、補助金という公的資金を使うわけなので、店舗に直接的な関係の無い方々、つまり地域社会の効果も記載することをお勧めしています。具体的には、当店の集客力が高まることにより、近隣の商店を利用する顧客が増加し、地域活性化に結びつくといった内容です。

(2)2種類の効果を書く

 前述の売上高や利益といった数値で示すことのできる効果は、定量的効果と言われます。これに対して、イートインコーナーを利用できるといった利便性は数値で示すことが困難な効果であり、定性的効果と言われます。よって、自社・顧客・地域社会それぞれの効果を定量的・定性的効果から検討していただきました。

(3)時系列の効果を書く

 同店は<経営計画>の「4.経営方針・目標と今後のプラン」では、3年間の「今後のプラン」を作成しました。よって、自社の効果として1年後、2年後、3年後それぞれで見込むことのできる売上高と利益を記載しました。

 このためには、年ごとにしっかり効果を検証することが必要になり、単純に「3年後に○円の売上高、◎円の利益を得ることができる」と記載するよりも、説得力が向上するでしょう。

 このようにして同店は計画書を作成し、結果として採択されました。同店経営者は、もともとは店舗改修だけで補助金を申請したいという考えをお持ちでしたが、店舗を改修しさえすれば販路開拓ができるとは限りません。

 よって、より大きな効果を得るべく、看板・チラシ・サイトといった告知に関する事業も盛り込むことにしました。このように、小規模事業者持続化補助金の目的である「販路開拓」をしっかり意識して計画書を作成したことが、採択に繋がったのではないかと思いますので、機械の導入や店舗の改修だけを検討している方は、参考にしていただければと思います。

2.小規模事業者持続化補助金の計画書作成をサポートします

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