その酒販店は創業50年を超える老舗であり、時代の変化とともに、酒や醤油・塩の販売に加え、プロパンガスや灯油などのエネルギーを取り扱ったり、コンビニエンスストアを新たに開設したりするなど、業容を変化させてきました。
そんな中、祖業である酒販店事業を強化したいと考えるようになり、25年以上使用した店舗の看板を一新させることにしました。そして、その費用を小規模事業者持続化補助金で賄うことを考え、当該補助金に応募した結果、採択されました。
その際、事前に作成した計画書をブラッシュアップして欲しいというご相談を受け、どのようにそれを行ったのか、複数回にわたってご紹介します。第3回目の今回は、様式2－1＜経営計画＞「3．自社や自社の提供する商品・サービスの強み」について見て行きます。
1．小規模事業者持続化補助金＜一般型＞応募の全体像
まずは、全体像を把握します。事業者が単独で小規模事業者持続化補助金に応募する際は、原則として以下の書類を作成し、締め切り日までに送付する必要があります。
- 様式1－1 小規模事業者持続化補助金事業＜一般型＞に係る申請書
- 様式2－1 経営計画書兼補助事業計画書①
- 様式3－1 補助事業計画書②
- 様式4 事業支援計画書
- 様式5 補助金交付申請書
このうち、様式２－１と様式３－１が採択に大きな影響を及ぼします。
２．様式２－１ 経営計画書兼補助事業計画書①の全体像
今回は、様式２－１を見て行きますが、その構成は以下となっています。
- ＜応募者の概要＞
- ＜経営計画＞
- ＜補助事業計画＞Ⅰ．補助事業の内容
３．＜経営計画＞の内容の全体像
今回は、様式２－１の＜経営計画＞を見て行きますが、その構成は以下となっています。
- 企業概要
- 顧客ニーズと市場の動向
- 自社や自社の提供する商品・サービスの強み
- 経営方針・目標と今後のプラン
４．「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」の書き方
今回のコラムでは、＜経営計画＞内の「3．自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を見て行きます。
（1）内容を切り分ける
当欄のタイトルは「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」ですが、これを1文で書こうとすると、何が自社の強みで何が自社の提供する商品・サービスの強みなのかが分かりにくくなります。そこで、「自社の強み」「自社の提供する商品・サービスの強み」と見出しを設け、内容を切り分けていただきました。
（2）「自社の強み」の書き方
私たちは日々、人・物・金・情報という経営資源を活用して事業を運営しています。これら経営資源のうち、競合に比べて優れており、顧客に価値を提供できる経営資源が「自社の強み」となります。
よって、「人的資源」「物的資源」「財務的資源」「情報的資源」と見出しを設けていただき、切り分けて記載していただきました。ここでの留意点は「物的資源の強み」として当店で扱う商品の強みを書いてしまうと次に見て行く「自社の提供する商品の強み」が書けなくなってしまうため、店舗立地や設備などの記載に留めることです。
また、あるノウハウを持つスタッフの存在は「人的資源の強み」ですが、スタッフが持つノウハウという見方をすると「情報的資源の強み」になります。厳密に区分することに大きな意味はないと判断しておりますので、どちらに盛り込んでも良いと思います。
（3）「自社の提供する商品・サービスの強み」の書き方
同店は、酒販店でお酒を販売したり、コンビニエンスストアで日用品を販売したりするなど、小売店を展開していますので、「自社の提供する商品」の強みを記載することとなりますが、併せて配達サービス、高齢顧客の見守りサービスなども実施しており、これらは「自社の提供するサービスの強み」となります。
これらは数が多いと2つに切り分けることが得策ですが、全部で7つでしたので、切り分けはせずにまとめて書きました。
（4）書くべきところに書く
前回見てきた「2．顧客ニーズと市場の動向」に外部環境を記載し、今回見てきた「3．自社や自社の提供する商品・サービスの強み」に内部環境を記載しますが、同店は、外部環境の脅威と内部環境の強みを組み合わせて販路拡大を狙うという図を記載していました。さらに当店周辺の人口動向も記載していました。
ですが、外部環境については、前述の「2．顧客ニーズと市場の動向」に記載していますので、わざわざここで持ち出すこともないと判断し、削除していただきました。
このようにして、「3．自社や自社の提供する商品・サービスの強み」のブラッシュアップを図りましたが、次回はこれに続く「4．経営方針・目標と今後のプラン」を見て行きます。
5．小規模事業者持続化補助金の申請書類作成をサポートします
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