同店は、創業130年を迎える食品小売業です。酒類・飲料水、お菓子といった食品の他に、燃料、たばこ、日用品の小売を行っていますが、特に地酒を中心としたお酒の品揃えが豊富である点が大きな特長となっています。
近年、店舗の老朽化が目立つようになるとともに、前面道路を通行する車両に訴求力のある看板を設置したいと考えるようになり、店舗改装を行うことにしました。
同店では、その資金を小規模事業者持続化補助金で調達しようと考えたわけですが、採択をより確実なものとするべく、同店で作成した計画書をどのようにブラッシュアップするべきか、弊社にご相談をされました。
結果として同店は、当該補助金に採択されるわけですが、そのブラッシュアップのプロセスを複数回にわたってご紹介していきます。
下図は、小規模事業者持続化補助金<一般型>に応募する際の一般的な提出書類ですが、今回のコラムでは、下図、様式2-1<経営計画>内の「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」の書き方を解説していきます。
1.「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」の書き方
同店が事前に記載されてきた内容は、【自社】【強み】という見出しの下、各内容がまとめられていました。これを踏まえて以下のようにブラッシュアップしていきました。
(1)適切な見出しを用いる
当欄のタイトルは「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」です。これを素直に使うならば、見出しは【自社の強み】【自社の提供する商品・サービスの強み】になるはずです。同店が予め記載してこられた見出しは【自社の提供する商品・サービスの強み】の観点が抜けていたことから、この2つの見出しに変更していただきました。
(2)「それは何故?」「だから何?」を検討する
同店が予め当欄に記載してこられた内容には、以下のようなものがありました。
約○軒のLPガス・灯油の固定客が存在する。
まず、固定客が存在することが強みなのではなく、なぜその数の固定客を確保できたのかが強みと言えます。そこで「それは何故?」を考える必要がありますが、例えば、固定客確保のために、迅速な配達ができる体制を維持し高い利便性を提供してきたことや、顧客との深い関係性を維持してきたことなどが強みと言えます。
また、固定客が存在することにより、どのような差別的優位性があるのかを検討することで強みを見出すことが可能です。そこで「だから何?」を考える必要がありますが、例えば、固定客が存在するため、定期的な御用聞きに伺うことが可能なことから受注頻度が高い、定期的なイベントで誘客できることにより業績が安定していることなどが強みと言えます。
(3)因果のトビを排除する
同店が予め当欄に記載してこられた内容には、以下のようなものがありました。
後継者が在籍しているので顧客は安心してお付き合いできる。
「後継者が在籍している」ことにより、何が発生して、「顧客は安心してお付き合いできる」のかを記載することが必要です。つまり「後継者が在籍している」ことによる直接的な効果を検討する必要があるということです。
例えば「後継者が在籍している」ことにより「中長期的な事業展開が可能である」ことから「顧客は安心してお付き合いできる」とすることにより、説得力は向上するでしょう。
このようにして「3.自社や自社の商品・サービスの強み」をブラッシュアップしていただきました。次回は「4.経営方針・目標プラン」を見ていきます。
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