同社は、創業50年を迎える食品製造販売業です。珍味、乾物、土産物、農産物加工品など幅広い食品の製造、卸、小売を行っています。特に、傷がついたり余剰在庫になってしまったりした農産物を再加工して販売も行っており、問い合わせや来店者が増加していますが、店内の商品陳列スペースが貧弱であるというご判断から、店舗改装を行うことにしました。
同社では、その資金を小規模事業者持続化補助金で調達しようと考えたわけですが、採択をより確実なものとするべく、同社で作成した計画書をどのようにブラッシュアップするべきか、弊社にご相談をされました。
結果として同社は、当該補助金に採択されるわけですが、そのブラッシュアップのプロセスを複数回にわたってご紹介をしていきます。
下図は、小規模事業者持続化補助金<一般型>に応募する際の一般的な提出書類ですが、今回のコラムでは、下図様式2-1<経営計画>「2.顧客ニーズと市場の動向」の書き方を解説していきます。
1.「顧客ニーズと市場の動向」の書き方
同社が当欄に予め記載してきた内容は、以下に示した内容の表と「詳細は添付資料○ページを参照のこと」という一文だけでした。これをどのようにブラッシュアップしていったかをお伝えしていきます。
(1)なぜ「顧客ニーズと市場の動向」を書くのか
顧客ニーズと市場の動向は同社を取り巻く外部環境です。そして、経営は顧客ニーズに応え、市場の動向にマッチしなければ、成果は見込みにくいため、現状がどうなっているかを記載します。
同社が予め書かれてきた内容に「顧客ニーズ」は盛り込まれておりませんでした。ということは、顧客ニーズを把握しないまま、今後も事業展開をする可能性があるわけで、取組の妥当性に疑問符がつきます。
市場の動向にしても、お得意先の軒数や顧客数の増減を事実ではなく感覚で把握しているのであれば、その後の取組の妥当性は不安が残ります。よって、数値を用いて客観的な事実を示す必要があります。
なお、上表内の「ピロー包装」を赤枠で囲んでいますが、このような専門用語は解説を加える必要があります。読み手が包装の専門家とは限らず、そのような方が多数の審査を行う中、自身が知らない専門用語をわざわざ調べるとは考えにくいからです。
(2)顧客ニーズを定義する
言葉を定義することは、読み手による解釈のバラツキを防ぎ、自社が伝えたいことを正確に伝えることが可能となります。特に「顧客ニーズ」は人によって解釈のバラツキがありますので、どのように定義したのかを示すと効果的です。
参考までに弊社では顧客ニーズを「当社を利用して顧客が達成したい目的」と定義していますが、当事例では、この定義に則って顧客ニーズを再検討していただきました。
(3)市場規模を記載する
前述の通り、増減したと判断したからには、その根拠が必要です。小売店軒数は、以前はどれだけあって、現在はどの程度になっていて、今後はどの程度になる見込みなのか、といった数値を用いた記述を盛り込めば、説得力は向上します。
この際に、インターネットを用いて統計データを把握するとよいでしょう。逆にデータとして示すことができなければ、当欄に盛り込む必要性は薄い可能性があります。
(4)競合動向を記載する
今回見ている「顧客ニーズと市場の動向」の次に「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」があります。強みは競合と比べて優れている部分ですから、比較対象となる競合の動向を把握する必要があります。
その内容は、今回見ている「市場の動向」として記載することが可能です。そこで競合の社名、住所、当社からの距離、URL、特徴などを一覧表にして盛り込むことをお勧めしています。
このようにして、「顧客ニーズと市場の動向」をブラッシュアップしていただきました。次回は前述の通り「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を見ていきます。
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