同社は、創業50年を迎える食品製造販売業です。珍味、乾物、土産物、農産物加工品など幅広い食品の製造、卸、小売を行っています。特に、傷がついたり作り過ぎてしまったりした農産物を再加工し、食品として販売も行っており、問い合わせや来店者が増加していますが、店内の商品陳列スペースが貧弱であるというご判断から、店舗改装を行うことにしました。
同社では、その資金を小規模事業者持続化補助金で調達しようと考えたわけですが、採択をより確実なものとするべく、同社で作成した計画書をどのようにブラッシュアップするべきか、弊社にご相談をされました。
結果として同社は、当該補助金に採択されるわけですが、そのブラッシュアップのプロセスを複数回にわたってご紹介していきます。
下図は、小規模事業者持続化補助金<一般型>に応募する際の一般的な提出書類ですが、今回のコラムでは、下図、様式2-1<経営計画>「4.経営方針・目標と今後のプラン」の書き方を解説していきます。
1.「経営方針・目標と今後のプラン」の書き方
(1)「経営方針・目標と今後のプラン」を切り分ける
当欄のタイトルは「経営方針・目標と今後のプラン」です。そこで、内容を「経営方針」と「目標」と「今後のプラン」に切り分けることが可能ですので、それぞれ見出しを設けて記載することにより、書き手の思考が整理できるとともに、読み手の理解が促されます。同社はこれを行っており、非常に良いと思いました。
ですが、当欄の内容は「経営方針」がほとんどを占めており、「目標」は売上高と従業員数といった数値目標が2行のみ、「今後のプラン」は「別添参照」となっていました。そこで、以下のようにブラッシュアップを行いました。
(2)「経営方針」には経営理念も盛り込む
経営理念とは自社が存在する理由です。それがある事業者とない事業者では、当然前者の方が力強さを感じさせます。その力強さに基づいた経営方針は妥当性があり、説得力が向上します。よって、経営理念を盛り込んだ上で経営方針を記載していいただきました。
なお、経営理念がない場合は、この機会に策定するとよいでしょう。以下のコラムを参考にしてください。
(3)定量的目標と定性的目標の両面から検討する
目標は数値で示すことが可能な定量的目標と、それが困難な定性的目標に切り分けることが可能です。同社は売上高と従業員数といった定量的目標のみを記載していますが、定性的目標を検討した様子がありませんでした。
定性的目標としては、知名度、顧客満足度、影響力、イメージなどが挙げられます。このような側面からの検討もお勧めしました。
(4)「別添参照」は使わない
前述の通り、同社は「今後のプラン」を「別添参照」としています。ですが、前々回のコラムに記載したように、効率よく審査をしたい読み手からすると、さらに読むものが発生することから、ポジティブなイメージは持たないものです。よって「別添参照」は使わないことをお勧めしました。
なお、今回(2021年2月5日締切り)の公募から計画書の枚数に制限が設けられましたので、上限枚数に達した上での「別添参照」はルール違反となる可能性が高いです。
このようにして「経営方針・目標と今後のプラン」をブラッシュアップしていただきました。次回は<補助事業計画>を見ていきます。
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